必要に応じた骨格の違い

フィギュアスケート・グランプリシリーズのロシア大会
が終わった。昌磨君はフランス大会に続いて台乗りならず。
これでファイナル出場はなくなった。

今の時点でファイナル進出が決まっているのはアメリカの
ネイサンとロシアのサマリン。

今シーズンもネイサン圧勝かな。

『くらべる骨格動物図鑑』(川崎悟司:著/大渕希郷:監修
 新星出版社)読了。

仕事も恋愛も、なんとなく上手くいかない。このままでいいの
だろうか。あぁ、人間ってなんてこんなに悩みが多いのだろう。

そうだっ!ちょっと人間を休んでヤギになってみよう。ヤギに
なって草原をギャロップして、人間としての悩みを忘れてみよう。

そんな挑戦をした顛末を綴ったのが、トーマス・トウェイツの
『人間をお休みしてヤギになってみた結果』だった。見事に
ヤギになりきり、ヤギたちからも仲間と認められたトーマス
だったが、骨格の違いで人間はヤギのようにギャロップしたら
鎖骨がぽっきりと折れるのだそうだ。残念。

本書は人間と、いろんな動物の骨格を比べてみようというもの。
読んでいる途中で先に記したトーマスのことを思い出しちゃった
のだよね。危うく再読しそうになった。危なねぇ。

表紙カバーで馬の真似をしている海パンさんが、それぞれの動物
の姿勢を人間が真似したらどうなるかのイラストがあって楽しい。

地上ではおぼつかない足取りでペタペタと歩いているペンギン
だが、その脚はお腹の中で膝が90度に曲がっている。だから、
本文にも記されている通り、ペンギンは常に「空気椅子」の
上体で地上で生活しているのだ。

これを人間がやれって言われても無理でしょう。私なんて膝を
90度曲げた時点で体がよろめくわ。

それぞれの動物と、海パンさんのイラストが特徴を捉えており、
小学生から大人まで楽しめるんじゃないかな。

動物の骨格紹介の合間には進化論をベースにしたコラムもあり、
雑学としても興味深かった。サメの骨はほとんどが軟骨なので、
レントゲンに写らない…とかね。

尚、イッカクの角は頭を突き破った歯なのだそうである。
いや~ん、人間の頭から葉が突き出ていたら。

 

ウマは1本の指で立っている!くらべる骨格 動物図鑑

ウマは1本の指で立っている!くらべる骨格 動物図鑑

 

 

自ら掘り起す家族のルーツ

『血族』(山口瞳 文春文庫)読了。

心に引っ掛かていたことがあった。それは、空襲で失われて
しまった1冊のアルバムだった。

早稲田大学の角帽をかぶった父、その父の上半身裸の後ろ姿を
写した写真。あと数葉、父の写真が続き、唐突に赤ん坊の頃の
著者の写真が貼られていた。

両親共に社h新好きだった。なのに何故、ふたりの結婚式の写真
がないのだろうか。家には母が「遠縁」としか説明しなかった
人たちの出入りがあったが、母は一切の昔話をしなかった。

子供の頃に耳にした、母と兄との諍い、父方の祖母が母に言い
放った「柏木田の女のくせに」という言葉と、自分に向けられた
憎しみさえ込められた視線。

父と母の結婚には、何かいわくがあるのではないか。芸事に優れ、
社交的で美しくもあった母は、一体、何を隠していたのか。

著者は少ない手がかりを元に、母の半生を、両親の結婚にまつわる
エピソードをかき集め、自分のルーツを辿ったのが本書である。

NHKの「ファミリーヒストリー」は、番組制作側がゲストのルーツ
を調べ上げる番組だが、著者はそれを自身の手と足で行っている。

今のようにインターネットでなんでも調べられる時代ではない。
地域紙の縮刷版や、母の生地と判明した場所にある警察に保存
されている資料を漁り、当時を知る土地の人たちに直接質問を
ぶつけながら、そのルーツを確かめて行く。

その合間には自分の生年月日にまつわる謎、家族の思い出、自身が
抱えていた鬱屈した思いが綴られ、最終章で父方のルーツを訪ねる
旅で大団円を迎える。

母方のルーツが判明するまでがミステリーのようでもあり、読み手
にもところどころで辛さが伝わって来るだけに、最終章を読み終える
と「ああ、こういう結末でよかった」と安堵さえ覚えた。

家族の過去を掘り起し、知ることの恐怖さえある作品でもあるが、
著者の母への愛情が感じられる良書である。

 

血族 (文春文庫 や 3-4)

血族 (文春文庫 や 3-4)

 

 

赤ペン先生

最初の報道だけでも呆れていたのに、被害者も拡大して
るじゃん。神戸市立東須磨小学校での、複数の教師に
よる教師へのいじめである。

「いじめはいけません」と指導しなくてはいけない教師が
何をしているんだかなぁ。加害教師4人はそれぞれ30代と
40代だろう。分別もないのかね、この人たちには。

そして、発表された謝罪文が被害者に対して行われたいじめ
を上回るほどの酷さだった。

「こんなもんを謝罪文としてよく発表で来たな。頭に何か
湧いてないか」と感じたのは私だけはなかったようだ。

ネット上では批判が相次ぎ、発表された謝罪文に対して
赤ペン先生をする人まで現れた。

下記のURLがよくまとまっているので、興味のある方は
どうぞ。
https://oricoma.com/news/10308/

加害教師も大概だが、これを公表した教育委員会の人たち
の頭の出来も疑うわ。

しかも、加害教師たちは有給休暇だって?いじめの内容を
見る限り、限りなく傷害なんですが。出勤停止の厳重処分
じゃないのかよ。

クズだよな、こんな教師たちって。教員免許取り上げで
いいんじゃないのか。

税金をどぶに捨てる

2020年の東京オリンピックでのマラソン競歩
開場を、札幌に移す検討をしています。

IOCがいきなり発表ですよ。寝耳に水ですよね、小池
東京都知事としては。

だから、「北方領土でやれば」みたいな発言が出て来る
のかもしませんね。

でも、効果的な暑さ対策を打ち出せなかったことにも原因が
あるのではないでしょうか。打ち水とか、朝顔の鉢植えとか、
降雪機とか、被る日傘とか…。

まあ、それ以前に招致の段階で「温暖な時期」なんて大嘘を
吐いちゃってるのが致命的でしょう。

IOCは先般行われたドーハでの世界陸上での同競技の棄権者
続出で危機感を持ったと言われているけど、暑さや湿度の
高さなんて開催前から分かっていた筈なんですねどね。

あ、ドーハ開催でもまさか委員に金銭が渡っていた…とか?

オリンピックの花形競技であるマラソンが、開催都市以外で
行われるとなると「東京オリンピック」という名称自体を見
直さなきゃいけないのではありませんか。

どうするんでしょうね。既にチケットを入手している人たち
への払い戻しとか。そういえば、都内のマラソンコースに
該当する道路って、舗装も直しているのではありませんで
したか?

これまでかけたお金はムダ金になるんですかね。

ヒポクラテスの誓いを胸に

小泉進次郎氏が述べたセクシーは『魅力的』の意味である」

くっだらない閣議決定を出して暇があったら、台風19号
福島第一原発事故の除染廃棄物が仮置き場から流出した
ことの危険度の調査でもしなはれ。

『誓い チェチェンの戦火を生きたひとりの医師の物語』
(ハッサン・バイエフ アスペクト)読了。

「わたしは自己の能力と判断の及ぶかぎり描写の治療に力を
尽くします。わたしの治療によっていかなる人を傷つけるこ
とも欺くこともいたしません。また求められても致死薬を与
えたり、そういう助言をしたりすることもいたしません。同
様に婦人にたいし堕胎の手段を教えることもいたしません…
…以上の誓いをわたしが全うし、これを犯すことがないなら
ば、すべての人びとから永く名声を博し、生活においても医
業においても豊かな実りが得られますように。もしわたしが
人の道を踏みはずし、この誓いを破ることがあるならば、そ
れとは逆の報いを受けますように。」

医師としての倫理の根幹をなす「ヒポクラテスの誓い」のなか
の一文である。

この「誓い」に忠実に守ったことが、彼が故郷を逃れざる得な
かった原因になった。

生まれたのはチェチェン共和国グロズヌイの郊外にあるアルハン・
カラ。シベリアのクラスノヤルスク医科大学で医学を学び、形成
外科医となった。

病院勤めの傍ら、勤務時間外には美容整形外科医として腕を振るい、
一定の評判も受けていた。

ソビエト・ロシアが行ったチェチェン人に対しての差別や迫害の
歴史は、幼い頃から父から聞いていた。自身も進学などで差別的
な発言に晒されたこともある。

それでも、充実し、幸福な日々だった。チェチェン戦争が始まる
までは。

戦争で一番の被害を受けるのは一般市民である。傷ついたチェチェン
の人々を救う為に、劣悪な環境でも治療や手術にあたり、時には
チェチェンの野戦司令官の治療に為にも呼び出される。

その一方で、何の為にこの戦争に送り込まれたのか分からないロシア
人新兵の逃走に手を貸し、戦争が激しくなればチェチェン人・ロシア
人の区別なく治療した。

それが彼の命を脅かした。医師としては当たり前のことをしただけ
なのに、チェチェン過激派からもロシア軍からも命を狙われ、亡命
を余儀なくされることとなった。

こんな馬鹿げたことが現実にあるのだ。チェチェン戦争だけではない。
病院であることを示す赤十字の旗を掲げていても、そこが攻撃される
ことがままある。著者であるハッサンもそれを経験している。

戦争は人間の尊厳を木っ端みじんに打ち砕き、人々の心に深い傷を
残す。ハッサンも心的外傷後ストレス障害に苦しんだことを、本書
のなかで正直に記している。

貴重な手記であると思う。ロシア政府に暗殺されたとされるアンナ・
ポリトコフスカヤもチェチェン戦争について書き残しており、日本
語訳も出版されているが、チェチェン側から書かれ、日本語訳が
出ている作品は本書が唯一であろう。

クリミア戦争にはフローレンス・ナイチンゲールがいた。そして、
チェチェン戦争には傷ついたすべての人を救いたいとの信念と、
ヒポクラテスの誓い」を守り抜いたハッサン・バイエフがいた。

ナイチンゲールは「近代看護教育の母」として称えられるが、
ハッサンは未だ故郷であるチェチェンへ帰国できていない。
いつか、命の危険がなくなり、彼が再び故郷の土を踏むこと
が出来る日が来るのだろうか。

尚、亡くなった米原万里はハッサンを「チェチェンのブラック・
ジャック」と呼んでいたらしい。

 

誓い チェチェンの戦火を生きたひとりの医師の物語

誓い チェチェンの戦火を生きたひとりの医師の物語

 

 

まずまず

「予測に比べると、まずまずに収まった感じ」

台風19号の被害についての自民党・二階幹事長の発言
である。

あの…まだ被害の全容は判明してませんし、亡くなった方、
行方不明の方もいるのですが、どのあたりが「まずまず」
なのでしょうか。

ご本人はこの発言を撤回しないらしい。それ、今回の台風
で被害を受けた方たちの前で言ってみたらどうかしらね。

今回の二階発言について参院予算委員会で突っ込まれた
安倍晋三は「コメントは控える」が、「私たち政府は、
この程度で良かったということは全くない」と発言。

ふ~む、史上最強の台風が来るよ~と予測されていた11日には
有楽町のフランス料理店で会食してたし、東海地方から関東へ
上陸した12日には来客なしで終日公邸で過ごしているんだよな。

あ、あれかな?ハリケーンで言えばカテゴリー5に分類される
ほどの台風だから、ボクチン外出しないものね…だったのかな?

台風15号の際に甚大な被害を受けた千葉県内には未だに視察に
行ってない安倍が率いる政府は、やっぱり人命軽視なんだろう
なぁ。

そう言えば「プッシュ型の支援」ってどうなっているの?

新潮社とあろうものが

どうしたんだ、新潮社。

百田尚樹大センセイの小説をほめちぎる感想をTwitter
投稿したら図書カードが当たるよっ!」

などという宣伝キャンペーンを打ったところ、批判続出で
わずか2日で中止になった。

宣伝キャンペーン自体もどうかと思うが、もっと目を疑った
のは新潮社が掲載した例文である。

「国語の教科書にのせるべきだ」
「そうか。この本と出会うために、僕は生まれてきたんだ」

関係者曰く「面白いと思った」そうだが、気持ち悪いわ、
こんなもん。いくら出版不況とは言え、もう少し考えて
くれないかしらね。

世に溢れる書評や本のレビューがすべてやらせじゃないとは
言わないけどさ、こんなあからさまなことを版元がやっちゃ
いかんだろう。

このキャンペーンを打ったのが幻冬舎なら分からんでもない
のだが、新潮社だよ。新潮文庫好きの私としてはガッカリ度
が半端じゃない。

お願い、新潮社。この件をよ~~~く考えてみてくれ。