天皇家の料理を真似てみる

多くの男性アイドル・グループを生み出したジャニーズ事務所
ジャニー喜多川氏が亡くなった。

訃報にふれて思い出したのが、ニュースキャスター(で、いいのか?)
木村太郎氏。以前、木村氏の著作を読んだ時、アメリカ生まれの氏が
日本に帰国する際、同じ船に乗っていたのがジャニーさんだった。

何かと噂の絶えないジャニーさんだったが、ご冥福を祈る。合掌。

『陛下、お味はいかがでしょう。「天皇の料理番」の絵日記』
(工藤極 徳間書店)読了。

「清羹(せいかん)」ってなんだか分かりますか?コンソメスープの
ことを宮中ではこう呼ぶそうです。コンソメスープが「清羹」なので、
ポタージュは「濁羹(だっかん)」なのだそうです。

宮中言葉同様に、天皇陛下や皇太子殿下の日々のお食事から宮中晩餐会
の料理までを担当する宮内庁大膳課では、料理や食材に対して独特の
呼び方がある。

カリフラワーは「花野菜」、サラダは「サラド」、ジャガイモは
「白芋」などなど。

著者の工藤氏はこれで失敗している。大膳課に奉職して間もない頃、
先輩から「メンポウを取ってくれ」と言われ麵棒を渡して叱られて
しまう。

メンポウは漢字で書くと「麺麭」。パンのことなので、そりゃ麵棒を
渡したら怒られるだろうけど、一般人には分からないよねぇ。

天皇の料理番」と言えば、ドラマもなった初代・秋山徳蔵氏や
後を継いだ中島伝次郎氏、両氏の薫陶を受けた金谷金次郎氏や
金谷氏の同僚であった渡辺誠氏がいる。

いずれの方々も著作を出されており、それぞれに興味深く読んだので
本書にも期待した。しかも、サブタイトルに「絵日記」とあるから、
大膳課での日々を絵日記で描いた作品なのかと思って手にした。

でも、少々違った。著者ご本人の筆になるイラストは随所にある
ものの、絵日記ではない。しかも、大膳課に籍を置いた期間が
前記の人たちより遥かに短い5年間なので、昭和天皇をはじめと
した皇族方とのエピソードも先輩から聞いた話が多くを占める。

良子皇后付の女官長だった北白川祥子を通じて、著者が作った
料理にお褒めの言葉を頂いたことが唯一の具体的なエピソード
かもしれない。

大膳課での仕事の様子は勿論、著者の生い立ちや大膳課へ入る
までが軽いタッチで書かれている。巻末には大膳課の料理の
レシピのいくつかがイラスト入りで紹介されているので、
このレシピを参考に「天皇家の食卓」を真似てみるのには
いいかも。

尚、著者が大膳課にいたのは昭和と平成の時代なので、本書では
昭和天皇のことは「聖上(おかみ)」、現在の上皇陛下のことは
天皇陛下」と記されている。

そういえば良子皇后も生涯、昭和天皇のことは「聖上」とお呼び
していたんだよなぁ。

 

陛下、お味はいかがでしょう。: 「天皇の料理番」の絵日記

陛下、お味はいかがでしょう。: 「天皇の料理番」の絵日記