世界滅亡へのカウントダウン

毎日、嫌になるニュースが多いねぇ。なんかこう、ぱーっと嬉しくなる
ようなニュースはないのかね。ふぇ〜。

『核時計零時1分前 キューバ危機13日間のカウントダウン』(マイケル・
ドブズ NHK出版)読了。

フロリダの目と鼻の先。カリブ海に浮かぶ島国・キューバアメリカが
強い影響力を振るえたバティスタ政権が崩壊したキューバ革命後、
アメリカにとってこの島国は癪に障る国になった。

革命の英雄としてキューバのに君臨したフィデル・カストロが気に
食わん。どうにかして傀儡政権を樹立したいアメリカは後にケネディ
政権の汚点となるピッグス湾事件を画策する。

亡命キューバ人を訓練しキューバ国内に送り込み、打倒カストロ
成功させるはずだったのが、僅か3日で大敗。キューバを取り戻す
どころか、ソ連に接近させることになった。

あからさまに敵対することになったキューバアメリカ。そして1962年
10月14日、アメリカのU2偵察機キューバ上空で撮影した写真が
重大な「モノ」を写していた。

ソ連のミサイル基地がキューバに建設されている。キューバ危機と
呼ばれることになるこの事件を、アメリカ・ソ連キューバの動向を
時系列で追ったのが本書である。

断片としてしか理解していなかったキューバ危機だが、わずが2週間
という時間で世界は危うく滅亡するところだったんだよね。当時の核
保有の2大国が、キューバを間に挟んで睨み合っているのだも。

ソ連が攻めて来るのなら、北極海の方向からだろうと思っていた
アメリカ。だから、北へ向けての防備はしていた。まさか南のカリブ
海の島からミサイルが自国を狙っているなんて思わないわなぁ。

ケネディフルシチョフも、核戦争なんてさらさらする気はなかった。
しかし「祖国か、さもなくば死を」で革命を成し遂げたカストロは、
アメリカがキューバを攻撃する気配を見せたら核ミサイルを発射
することを望んでいた。

三者三様の思惑。結局はカストロが敗者とはなるのだが、ソ連
カストロの意を汲んでいたらと思うとぞっとするわ。

危機の最中に次々と起こる思わぬアクシデント、公開された新
資料からの分析がなされた良書。660ページを超える大作は
時間がかかったが読んで損はなし。

ほんの少しだけ、何かが違っていたら今のこの世界はなかったかも
しれないんだよねぇ。しみじみ。