ドロドロしてる

「今月いっぱいで辞めます」。

派遣先の喫煙室でいきなり話しかけられた。遅い時間のシフトに入っている
スタッフである。うん、同じ派遣会社のスタッフから既に耳に入ってるよ。

「少し家が遠いので」。

へ?そんなの派遣される前に分かっていたことじゃん。今頃何を言っているのか。
そう思ったけど、口には出さない。一応、大人だから。笑。

あ〜あ、せっかく研修も終わって独り立ち2カ月目なのにねぇ。年明けからまた
研修から始まるのか。今でさえ、遅番のスタッフは頭数が足りてないのになぁ。

『芸術とスキャンダルの間 戦後美術事件史』(大島一洋 講談社現代新書
読了。

加藤唐九郎による「永仁の壺」贋作事件から、マッド・アマノのパロディ・コラージュ
著作権事件まで。戦後の日本で起こった美術界の事件をワイドショー的に覗き
見って感じである。

「その後、どうなったの?」と感じる事件もあるが、ワイドショーなんて所詮深追い
しないから、これはこれで楽しんで読める。

国立の美術館が贋作を掴まされた話は、少々腹が立つけどね。だって、国費で
購入して「ニセモノでした」じゃ済まされないぞ。国民の血税なんだから、購入
する作品はきちんと精査して決めて頂きたいものだ。

お気の毒なのは大原美術館の盗難事件だ。事件当時、館内の巡回に当たって
いた警備員が自殺している。その職業柄、手引きなどを疑われて苦しかったの
だろうな。責任も感じていただろうに…。

美術館や博物館に行って「ほぇ〜、すご〜〜〜い」と眺めているだけの美術品
だが、その裏側には贋作や詐欺、窃盗、美術商の思惑などが幾重にも重なり
合ってかなり生臭そうだぞ。

美術品の知識がなくても楽しめる◎な良書だが、絶版らしい。残念。