あゝ、憧れの水の都

ん~。立憲民主党参院比例代表に元格闘家の須藤元気
擁立かぁ。

おしどりマコに続き「なんで?」と思うわ。ネームバリュー
だけで擁立してるんじゃないだろうな。

ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪しい
人々』(ジョン・ベレント 光文社)読了。

原題は「The City of Falling Angels」なのよ。直訳したら
「天使たちが落ちる街」なのよ。それなにの邦題になるとなんで
こうなっちゃうかな。

そりゃ邦題に「ヴェネツィア」の文字が入っていなかったら私も
手にしたかどうか不明だけれどさ。修復なる以前のサンタ・マリア・
デッラ・サルーテ教会に掲げられていた注意書きが原題の元になっ
ているのが台無しだよ。

「天使の落下にご注意」との注意書きは、大理石の装飾板から天使象
が落ちて来るから気をつけてねってことだったのだから。

邦題のタイトルとサブ・タイトルに対する文句を垂れたが、内容は
非常に興味深いのだ。

1996年1月29日の夜、ヴェネツィアの至宝でもあるオペラ・ハウス、
フェニーチェ劇場で発生した火災を軸に、火災から3日後に当地を
訪れしばしの居を定めた著者が出会った人々を描いている。

ナポレオン軍に屈する以前の「ヴェネツィア共和国」再興を夢見る
貴族。神出鬼没のコスチューム・プレイヤー(注:アニメや漫画
のコスプレではない)。フェニーチェ劇場の火災を間近に見てそれ
を自身の作品として昇華する名匠のガラス工とその家族間のいざ
こざ。

ヴェネツィアを愛し、その地で愛人と共に暮らし没したエズラ
パウンドに関連した資料を巡る攻防や、批評家にして詩人の謎の
自殺と彼が残した何通もの遺言書が巻き起こす混沌は、共に上質
のミステリーのようだ。

観光では目に出来ないヴェネツィアヴェネツィアを取り巻く
人々の姿に引き込まれ、500ページを超える厚さも気にならずに
読み進めることが出来る。

ああ、私もイタリア語さえ出来れば著者のようにヴェネツィア
腰を据えて住んでみたい。そうしたら、共和国時代にドージェを
輩出した名門貴族とお知り合いになれる可能性もあるかも。

ただ、ヴェネツィア市内は車の往来が禁止されているので、どこに
行くにも歩かなきゃいけないのが難点かも。

私はいにしえのヴェネツィア共和国のファンなのだが、本書は時を
超えても歴史的建造物に溢れる現代のヴェネツィアを堪能できる
良書だと思う。

 

ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪しい人々

ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪しい人々