私の異常な愛情 その22
初めての出会いは映画「ベニスに死す」。でも、スクリーンに
映し出されるヴェネツィアの風景よりも、世紀の美少年ビヨルン・
アンドレセンの美貌に目を奪われていた。
確か次は少女漫画だった。父の跡を継ぎヴェネツィア共和国の
元首となった女性が主役のお話だ。だが、これが史実に反する
と知ったのは後の事。ヴェネツィア共和国の元首は世襲では
ないし、中世は女性の政治参加なんてなかったもの。
今では統一なったイタリアの一地方であるヴェネツィア。中世
にはサン・マルコの獅子を頂く共和国だった。
この小さな共和国に惚れ込んでいる。もっとも私のイタリア史
の知識は多分に作家・塩野七生氏の影響を受けているのだが。
ローマ帝国崩壊後、蛮族の侵攻から逃れた人々が潟の上に
築いた水の都。塩と魚しかなかった国は、交易によって
1000年の春を謳歌する。
中世、地中海にはヴェネツィア同様、いくつかの海洋国家が
存在したが最後まで生き残ったのがこのヴェネツィアだ。
(
中世のヨーロッパ国家の例に漏れずキリスト教徒の国家なの
だが、「まずはヴェネツィア市民。次いでキリスト教徒」と
宣言するくらい、当時、強大な権力を誇ったローマ教皇を
「私はどこでもローマ教皇だがヴェネツィアだけでは違う」
と嘆かせるほどに、教会を舐めきった態度を取る。
そんなところがたまらなく好きだ。信仰よりも自国の利益
なんだもの。
フィレンツェやボローニャ、勿論ローマも。イタリアには
魅力的な街が多くある。どこも行きたいけれど、ヴェネツィア
は海に沈んでしまいそうだから早く行っておかなければ。
水の都でゴンドラに乗って、ついでに「海との結婚」の儀式
も見たいな。アドリア海の女王の姿を拝みに行かなくては。