苦しみは終わることがない

やっとお昼だ〜と思って、ウキウキしながら喫煙室へ向かったら
窓の外は土砂降りの雨。天気予報では確かににわか雨のところも
とは言っていたが、こんなに激しく降るのかよ。

一服しながら外を眺めていたら雷鳴までして来た。帰宅する頃には
雨も上がって、青空になってたけどね。

『奪還 第二章 終わらざる闘い』(蓮池透 新潮社)読了。

引き続き、北朝鮮による日本人拉致問題のおさらい中である。

人間の記憶って本当にあやふやだ。著者の弟である薫氏を含む
5人が北朝鮮から帰国してから、お子さんたちが日本に来るまで
それほど時間が経っていないと感じていたのだが、実際は1年
以上もの月日を要していたのか。

お子さんたちは人質みたいなものだったよね。再会するまで、
どれほどの不安を抱えていただろうかと思うと胸が痛い。

そして、相変わらずの政治家のばかっぷり。拉致問題を選挙向け
のパフォーマンスに利用するなんて、人の気持ちを踏みにじる
ことが平気で出来る神経が分からん。

拉致問題をビジネスに利用しようとする輩はいるわ、募金詐欺
働くたわけはいるわ。人の不幸に群がるド阿呆の多さに唖然と
する。自分の肉親が被害者だったら同じことが出来るか?ボケっ!

著者の怒りが伝播するような話が多かったが、帰国した薫氏が
著者に語った「向こうで一生懸命生きていこうと思ったら、
日本への望郷の念を捨て去ることが必要で、それこそがプラス
思考になる」との言葉に頭をぶん殴られた気分だった。

こんな風に思って、24年間を必死に生き抜いてきたのだね。

拉致被害者家族も帰国が叶った5人の家族と、それ以外の人たちの
家族の間に出来た溝も正直に記されている。のちに著者は家族会
から除名されてしまうのだが…。

今振り返っても、日本政府の拉致問題への取り組みはやはりこの時点
で止まってしまっているのではないだろうか。

2018年5月、北朝鮮に拘束されていたアメリカ人3人は。訪朝した
ポンペオ国務長官と共にアメリカに帰国した。

日本はどうだ?2018年4月に行われた南北首脳会談で文大統領は
金委員長に日本が拉致問題の解決を求めていると伝えてくれた。

「韓国やアメリカなど、周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は、
直接言ってこないのか」

金委員長は文大統領にこう言ったと伝えられた。もっともだと思う。
日本政府としてパイプがないのであれば、アントニオ猪木の訪朝を
認めてもいいのではないか。

どんな手段を使っても奪還する。そんな強い思いを日本政府が持って
いなければ、拉致問題は永遠に解決を見ないような気がする。