最近、薄気味悪いんだ

骨董品が趣味だからって、購入した骨董品の領収書を勤め先に
提出して経費で落とそうとしたら怒られるよね。

でも、舛添東京都知事は政治資金で買っちゃう。それも、ネットの
オークションで。

ダメだ。この男、ダメすぎる。それなのに、何を調べるって言うのかね。

日本会議の研究』(菅野完 扶桑社新書)読了。

1.緊急事態条項の追加
 非常事態に際し、「三権分立」「基本的人権」等の原則を一時無効
化し、内閣総理大臣に一種の独裁権限を与えるというもの。
2.家族保護条項の追加
 憲法13条の「すべての国民は、個人として尊重される」文言と、憲法
24条の「個人の尊厳」の文言を削除し、新たに「家族保護条項」を追加
するというもの。
3.自衛隊の国軍化
 憲法9条2項を見直し、明確に戦力の保持を認めるというもの。

安倍晋三のブレーンに名を連ねる伊藤哲夫が代表を務める「日本政策
研究センター」がセミナーで公表した憲法改正のポイントである。

自衛隊の国軍化よりうすら寒いのは、その前の2項目だ。これは改憲
レベルを遥かに超えている。

期せずして熊本震災後、菅官房長官は定例の記者会見において大規
模な自然災害が発生した時の為に緊急事態条項が必要だと述べた。
災害対策基本法で十分に対処できるのに…だ。

近年、正体不明な不気味な怖さを感じている。大きな要撃ではなく、
じわじわと追い詰められているような怖さだ。

私が生まれ育ったこの国は、どこへ行ってしまうのだろうという怖さ。
安倍政権になってその怖さが顕著になった。そこで聞こえて来たの
が「日本会議」なる団体の名前だ。

本書は安倍政権の陰に見え隠れする日本会議の成立過程や、本流
を遡った秀逸な調査報告だ。

生長の家」まで遡り、日本会議を取り巻く人々、関連団体とその主張
するところを綿密に描いている。

日本会議は多くの関連団体を通じて「草の根運動」と見せかけて賛同者
を増やしている。

新しい歴史教科書をつくる会」「北朝鮮拉致家族を救う会」「北朝鮮拉致
家族を救うブルーリボンキャンペーン」「港区から日本をよくする会」
「美しい日本の憲法をつくる国民の会」等々。

正体を知らなければ賛同したくなくような名称が並んでいる。特に北朝鮮
による拉致被害者の為の運動なのだと思ったら、まんまと騙される。

薄気味の悪さは大本の正体が見えないことだ。調べれば日本会議に連な
る団体だと分かるのだろうけれど、そこまで調べようとする人がどこまで
いるかだ。多くの人は裏を読もうとはしないだろうな。

そうして、冒頭に記した改憲ポイントを公表した日本政策研究センター
伊藤哲夫は、日本会議と共通する「生長の家」に連なる人物である。

70年代の学生運動の際に、民族派と言われた学生たちが社会人になり、
「左翼憎し」の恨み言を唱えながらあまり賢くない政治家たちのプロモー
ター役を務めているって感じだな。

安倍晋三を筆頭に、政権与党の政治家センセイたちの言動の幼稚さには
頭が痛くなるんだが、政治家が幼稚であればそれだけブレーンとしては
操りやすいのかもな。

それにして本書の著者は個人でよく調べ上げたものだ。資料に当たるのは
勿論、本書に登場する人物を知る人からも証言を取っている。本来であれ
ば新聞などの大手メディアが調査報道してもいいくらいなのだけれどね。

残念なのは校正がずさんなのと、掲載されている図表が小さいこと。

メインテーマとなっている日本会議周辺から出版差し止め請求が出ている
せいか、売れてるようで私の手元にあるのは既に2刷り。大手書店では
「お一人様1部」と数量限定をしているところもあるとか。

そう言えば蓮池透さんが「家族会は救う会に乗っ取られた」と言っていた。
その「救う会」には在特会が入り込んでいるらしい。在特会日本会議
と関係があるんだよね。