無法国家と無能国家
日中韓サミットが行われたと言うのに、テレビのニュースはどこも
北の3代目の2回目の訪中に時間を割いているのはなんでだ?
日中韓サミットではなんの成果もなかったからかしらね。韓国の
文大統領は日帰りだったしな。
今年4月の南北首脳会談以降、朝鮮半島情勢に変化が見られるよう
になったので日本人拉致の問題も前進するかなと注視しているの
だが、我が国の首相は自ら「司令塔」と言う割にはアメリカや
中国、韓国の首脳にお願いするだけなのだよな。
少しでも進展すればいいとの願いを込めて、拉致問題のおさらいの
為も含めていささか古くなった作品だが本書を手にした。
北朝鮮による日本人拉致が公になったのは1988年。前年に起きた
大韓航空機爆破事件の犯人・金賢姫の証言で日本語教育係だった
「李恩恵」の存在が明らかになってからだ。
著者の弟である蓮池薫さんが突然家族の前から姿を消してから10年目
だった。
家出なのか、恋人との駆け落ちなのか。なんの手がかりもない中で
探し舞ったご家族の苦悩、北朝鮮による拉致が明らかになってから
でも警察も外務省も当てに出来ない憤り。
拉致被害者の家族のひとりとのしての率直な思いが綴られており、
非常に重くて、痛い文章が続く。
なかでも政治家はとことんダメすぎる。比較的に好意的に書かれて
いるのは平沢勝栄氏くらいか。山本一太なんて家族会に「自分には
国連とのパイプもあるから」と言っているのに言っただけ。
拉致問題に関しても日本は本当に無策な国だと感じた。
蓮池薫さんら5人の帰国以降、拉致問題はなんら進展を見せていない
のではないだろうか。日本政府は最初の5人が帰国した時点で、この
問題には距離を置いてやしないかと感じる。そうして、自分たちの
都合のいい時だけ、拉致問題を持ち出して来てやしないか。
拉致被害者家族という当事者であるからこその怒りや、哀しみが
つまった1冊だった。