海の脅威は他人事ではない

少なくとも年収1000万円以上、職種限定で残業代ゼロ。
労働時間ではなく仕事の成果に応じた給与体系を取る。

政府がこんな案を持っているのだが、一部メディアでは
既に拡大適用を懸念した記事が掲載されている。

そもそも仕事の成果って誰が決めるんだ?決める側
圧倒的優位じゃないの?

そんなことを思っていたら経団連のエライ人から「職種の
幅を広げろや」って意見が出て来た。

やっぱりね。雇用側なんて労働力を都合よく使いたい
だけだもの。それもなるべく人件費を抑えて。

でもさ、そもそもこの「残業代ゼロ」って経済特区を作って、
そこで適用するって話じゃなかったっけ?私の記憶違いか?

『海のテロリズム 工作船・海賊・密航船レポート』(山田吉彦
 PHP新書)読了。

四方を海に囲まれた我が日本。でも、「海洋国家」って意識は
薄いんだよな。

「海洋国家」と言われて真っ先に思い出すのはヴェネツィア
共和国。これは私の脳が塩野史観に支配されているからも。

本書は日本沿岸に現れる北朝鮮工作船や、マラッカ海峡
での海賊行為など。海上の脅威についての実例レポートで
ある。

発行が2003年と約10年前なので現在とは少々状況は異なって
いるのだろう。今じゃ海賊と言えばソマリア沖の方が話題になる
ものね。

文化や人の交流を生んだ海にも危険なことはいっぱい。民主党
政権時代に中国漁船が海上保安庁の監視船に激突した事件は
未だ記憶に新しい。

あれは単にぶつかっただけだけれど、本書で紹介されている
北朝鮮工作船はロケットランチャーまで装備だよ。下手したら
海上保安庁職員に死者が出てもおかしくないくらい。

日々、海の安全の為に働いている海上保安庁に感謝しなきゃ
だわ。

座礁船や放置された密航船の処理も勉強になったが、特に興味
深かったのはマラッカ海峡での海賊行為。

マラッカ王国の誕生やら、ポルトガルの侵攻等、周辺の歴史も
ダイジェストで書かれている。

海賊行為は確かに犯罪だけれど、どうして海賊になったのかを
考えるのも大切だと思うんだよね。

ソマリア沖の海賊って確か元々は漁師さんたちが多いんだよ。
ヨーロッパの会社が産業廃棄物をソマリア沖に不法投棄して、
漁場が荒れたのが原因なんだもの。

さて、海に囲まれた日本。それなのに、海からの脅威には鈍感
かもしれない。近年になって沈没したとされていた漁船が北朝鮮
による拉致の可能性が出て来た。

海はバリアにもなるけれど、危険もいっぱんなんだと覚えておき
たいね。