10億ドルの茂みを買った男

「そうだ、バラク・オバマ氏にフランスの大統領になってもらおう」

誰が言い出したのか、パリではオバマ前大統領へ出馬要請をする
署名集めが行われているらしい。

えっと…やっと「アメリカ大統領」という重圧から解放されて、サーフィン
したりエンジョイしているらしいんだからそっとしておいてあげてよ。

ラリー・フリント』(ラリー・フリント 徳間文庫)読了。

ジョン・F・ケネディ大統領の元夫人で、その後にギリシアの海運王
オナシスと再婚したジャクリーン・オナシス。そのジャクリーンの盗撮
されたヌード写真が雑誌に掲載された。

「10億ドルの茂み」と題して掲載したのはアメリカのヌード雑誌「ハスラ
ー」。発行人はラリー・フリント

そう、本書は雑誌「ハスラー」の創刊者であり、いくつかの裁判を闘った
ラリー・フリントの半生を綴った自伝である。

生まれたのはケンタッキー州の貧しい村。雑貨屋が唯一の社交場だ。
ラリーが最初に手を染めたのは酒の酒の密売だった。しかし、稼いだ
金がアル中だった父の酒代に消えるのに我慢ならなくなる。

この貧しさから脱出しなければ。そう決意したラリーは出生証明を偽造
して、まんまと軍隊に潜り込む。陸軍と海軍への入隊・除隊を繰り返し、
海軍除隊後は稼いだ金を元手にバー経緯に乗り出す。

おれが当たった。次々に店舗を増やし、労働者階級相手のバーから
少し高級なクラブ、当時流行の兆しを見せていたゴー・ゴー・クラブ、
そしてストリップを売り物にした「ハスラー・クラブ」の経営で成功する。

雑誌「ハスラー」はこのストラップ・クラブのニュースレターとして始まっ
た。今ではネットでなんでも見られるけれど、女性器を最初に掲載し
たのがこの「ハスラー」だった。

猥褻か表現の自由か。永遠に議論が起きるテーマではあるが、ラリー
アメリカ修正憲法第一条を盾にして闘う。

猥褻物販売事件だけはなく、名誉棄損など度々法廷に立つことになる
のだが、ラリーの逃走精神は衰えることはない。それは、裁判所へ出廷
する途中で弁護士共々、銃撃され、下半身不随になってもだ。

成功者のサクセスストーリーとしてもかなり波乱万丈。同名の映画も
面白かったけれど、本書も興味深く読んだ。

罰金は1ドル紙幣で払うわ、星条旗をおしめにするわ。本書には書かれ
ていないけれど、最近ではトランプ大統領の犯罪証拠になるテープに
懸賞金を出すとも発表していた。

お歳を召しても反抗精神は旺盛なんだな。