神戸〜、割れてどうなるのか

昨年に引き続き、沖縄慰霊の日の追悼式に出席して野次を
浴びる日本国首相である。

日米地位協定を見直すんだって。軍属の扱いについて「だけ」。
そりゃ「見直し」じゃねぇよ。

山口組 分裂抗争の全内幕』(盛力健児/西岡研介/鈴木智彦/
伊藤博敏/夏原武 宝島社)読了。

なんかおかしいぞと思ってはいた。後藤組元組長・後藤忠政『憚りな
がら』、盛力組元組長・盛力健児『鎮魂 さらば、愛しの山口組』等
広域指定暴力団山口組を除籍になり、引退した直参組長たちが
相次いで自叙伝を出版したのだもの。

上記の2作品共に山口組6代目と司忍組長の出身母体である弘道会
への批判がてんこ盛りだった。

そうしたら、2015年8月末に山口組が割れた。割った側の中心が田岡
3代目に寵愛された山本健一を初代に頂き、一時は「山健にあらずば
山口にあらず」とも言われた山健組だ。

そして名乗ったのが「神戸山口組」。この名称が公表された時、なんと
も面倒な名称だなと思った。だって今までは「神戸」と言っただけで、
それは山口組を指す言葉だったから。

分裂後間もない時期に発行された作品なので現在とは少々事情は
異なっているかもしれないが、山口組・神戸山口組双方の言い分を
併記しているのでバランスは取れている。

ただ、実話誌や暴力団関係の作品を既に読んでいる人には物足り
ないかもしれない。

盃を交わした以上、親が黒と言えば白いものでも黒になるヤクザの
世界。その基本にあるのは盃だ。盃を受けた以上、親の言うことは
絶対。しかし、山口組には田岡3代目が信条とした「親は子の面倒
を見なければいけない」があった。

しかし、司6代目になって「子は親の面倒を見る」に変わってしまった。
高い上納金の他、盆・暮や司6代目の誕生日の付け届け、日用品の
購入割り当てなど。

暴対法や暴排条例で締め付けが厳しくなっているヤクザたちは金の
捻出にも苦労しているようだ。

「俺ら、雑貨屋の親父じゃない」。山口内部ではそんな不満も充満して
いたようだ。このままでは弘道会山口組の上に君臨することになる。
そんな危機感と、本来の山口組の原点に回帰しようと古参の親方たち
が組を割ったってことなんだろうな。

山口組からしたら「盃受けといて勝手に飛び出して逆縁じゃないか。
そりゃ筋が通らない」ってことらしい。

だが、山一抗争(山一證券ではありません)の時とは環境が違うので、
今のところ大きな抗争には発展しそうにないけどね。ただ、このまま
では6代目のメンツ丸つぶれだよね。

神戸山口組は徐々に構成員が増えているとの話もある。ただ、取り
締まる警察関係者から見たら共倒れになってくれるのが一番いいの
だろうな。

本書では今回の分裂に関して警察関係者の談話も取っていて、これ
が面白かった。

心情的には神戸寄り。本当に潰したいのは名古屋(弘道会)と言う
兵庫県警。これに対しで、山建だろうが弘道会だろうか関係ない。
ヤクザと名のつくものは潰すだけと言う大阪府警

さすが第二山口組と言われた大阪府警である。あ、これからは大阪
山口組と読んだらいいのかしら。

ダイジェストではあるが山口組の歴史や、関東の暴力団の動向、
他団体の分裂騒動、暴力団と芸能界の関係等も書かれていて、
ざくっと流れを掴むにはいいかも。

尚、創立100年を記念して山口組は『山口組100年史』を編纂した
そうだ。司6代目の写真がたくさん掲載されているとか。これ、非売品
だよね。欲しいな…ボソ。

さて、山口組と神戸山口組。共倒れになるのか、どちらかが生き残る
のか。それとも共存していくのか。これからが気になるところだ。