母の愛に報いるため、堅気になったヤクザ

風邪の為、天皇陛下がいつくかの公務を中止されたとの発表が
あった昨日。皇太子ご一家は毎春恒例のスキーご静養に出発
された。

もう何年も前から期待することはやめているからいいんだけどさ、
夕方のピーク時に首都高・外環・関越道に規制かけて車で行く
意味が分からん。しかも、今週は年度末のピークでもある。

東京駅から新幹線じゃ駄目だったんですかね?殿下。

『むちゃもん 山口組・田岡一雄三代目に盃を返した元直系
組長の回想録』(山本次郎 宝島社)読了。

破門されたり、除名されたりして、日本最大の暴力団山口組
から離れて行った元ヤクザはたくさんいるだろう。しかし、
「今日限りで堅気になるので盃は返します」と自ら切り出した
元ヤクザってどれだけいるんだろうか。

その稀有な元ヤクザが本書の著者である。盃を受けたのは
三代目田岡組長時代。そして16年後には「堅気になるっ!」
と言って山口組から離れて行った。

それはひとえに母の愛に報いる為だった。著者が刺青を入れ
ようと、人を殺して刑務所に入ろうと、涙を流すことはあって
も見捨てることをしなかった母の為に。

元ヤクザの回想録だ。勿論、自慢話満載である。喧嘩の話なんて
お腹いっぱいになるくらい。一番強烈なのは惚れた女性に結婚を
拒まれて顔に硫酸を浴びせたエピソーゾだ。

どんなに「むちゃもん」でも、これはいか〜〜〜んっ。女性よ、
まして顔よ。いや、相手が男性だっていかんのだけどさ。そんな
ことをした上で「外見が変わっても結婚したい」って何よ〜。
そんなのまったく男らしくないわよ〜。ゼィゼィ。

このエピソードだけはどうしようもなく嫌悪感が湧くのだが、
著者はヤクザじゃなければ強面だけれど面倒見のいいおっちゃん
なのだろうな。

徐々に金権体質に変わって行った山口組に対する厳しい目は、
三代目田岡組長時代に組から離れたからなのだろう。現在の
六代目司忍組長になってからの山口組への批判はかなり手厳
しい。

「原点回帰」と言いながら、やっているのは三代目の墓参りだけ。
田岡組長が唱えた「原点回帰」を目指すなら、それぞれに正業を
持たせ、上納金制度や通販も辞めるべきだと言う。

後藤組組長・後藤忠政『憚りながら』、元盛力組組長・盛力
健児『鎮魂』(共に宝島社)と、立て続けに山口組直系組長の
回想録が出版された。本書もその流れか。3作品とも六代目
批判なんだよな。

山口組の未来は暗い?それとも、司忍組長には求心力がないって
ことなのか。そうじゃなくても暴対法や暴力団排除条例なんかで
ヤクザさんたちには生きにくい世の中になってるものね。

後藤氏・盛力氏の作品ほどの面白さはないが、ヤクザを法律で
追い詰めるなら彼らを堅気にする施設を作るべきだととの著者
の持論には賛成したいわ。