お前はただの器に過ぎない

パリで同時多発テロだ。フランスがISに対して行っている空爆
の報復との見方が強いそうだ。

今日は公休日だったので少々寝坊していたのだが、この事件の
勃発を知った友人からの電話で起こされた。

知った瞬間、先日、アメリカの無人機が「ジハーディ・ジョン」の殺害
に成功したことへの仕返しか…なんて思ったんだが。

どちらにしろ、犠牲になられた方々のご冥福を祈る。合掌。

『メディアの苦悩 28人の証言』(長澤秀行 光文社新書)読了。

メディアの論じた本には2種類あると思っている。出版から数年が
経っても内容が色褪せない作品と、わずかの時間しか経過して
いないのに内容が古くなっている作品だ。

本書は色褪せないのでも古くなっているのでもなかった。薄っぺら
だった。

新聞社・テレビ局・インターネットのサイト等のトップや人気ブロガーなど、
28人へのインタビューで各メディアの抱える問題点と将来への展望を
聞き出そうとしているらしいんだが、聞き手である著者の力不足と
メディアに対する知識の欠如は否めない。

日本を代表する広告代理店・電通の元社員だったら、どうしても話が
公告が中心になってしまうのかな。それにしたって書名に「苦悩」なん
て文字を入れているからには話し手にとって耳の痛い質問が出ても
いいと思うんだが、まったくなし。

確かにメディは模索しているのだと思う。新聞・テレビ・ラジオ等の
「既存メディア」と言わるメディアの衰退も言われて久しい。だが、
すべてにおいてリアルタイムで知りたいことを得られるインター
ネットが優れているかと言われれば違うんだよな。

本書ではやたらヤフー・ニュースとヤフー・トピックスを持ち上げて
いるが、個人的にヤフー・トピックスには知りたいニュースが載って
ないのが現状だ。

芸能やスポーツの話題だけではなく。政治・経済の硬い話題も
まんべんなく掲載する姿勢だというけれど、13文字の見出しでは
訳が分からないのでクリックする気も起きないんだよな。

瓦版が新聞になって、ラジオが登場し、テレビが多くの家庭に普及
した。その度に、以前から存在したメディアが滅びると言われたが
ラジオも新聞も衰退はしているかもしれないが、未だ健在だ。

結局は知りたいことをどのような手段で知るか。利用者側の使い
分けなのだと思う。速報ならテレビかインターネット。解説・論説
ならば新聞・雑誌とかね。

新聞にしろ、テレビにしろ、インターネットしろ、情報を盛る単なる
器に過ぎない。その器の中に何があるか。それが問題なんじゃ
ないだろうか。

切り口としては面白いテーマなのに著者の力量のなさで駄作になって
しまったのが残念だわ。