喜怒哀楽のすべてが詰まっている

JA全中が政府の農協改革案を飲んだ。「農家の自由競争を
促進する為」とか政府は言っているけど、これ、明らかに
TPP参加後を視野に入れているよね。

そして監査権の廃止は官僚の天下り先を作りたかっただけ
じゃないの?

JA全中にあーだこーだ言う前に、自民党は自分たちが行って
来た農政の反省をするのが先だろう。

『注目されるべき125通の手紙 その時代に生きた人々の記憶』
(ショーン・アッシャー:編 創元社)読了。

数年前、皇居三の丸尚蔵館で行われた特別展で、皇后陛下
学習院初等科3年生だった時の秋篠宮真子内親王殿下に送った
手紙を見た。

「お年寄りの世代が行っていた手仕事について調べよう」との
宿題について、真子内親王殿下の質問に皇后陛下がお答えに
なった手紙である。

明治天皇の后・昭憲皇太后から代々の皇后に伝えられた養蚕に
ついて、丁寧に綴られている手紙から皇后陛下がお孫様へ
向ける愛情が溢れていた。

手紙って、やっぱりいよね。近年はメールでのやり取りばっかり。
先般も『百年の手紙 日本人が遺した言葉』(梯久美子 岩波新書
を読んだが、本書は世界各国の有名無名人の手紙125通を紹介しな
がら、その時代を感じようというもの。

真珠湾、空襲される。これは演習ではない」

日本の真珠湾攻撃に際して、アメリカ太平洋軍最高司令官から
ハワイ地域の全船舶に対して贈られた電文だ。演習だったら、
どんなによかっただろう。

ウォーターゲート事件に続き、肺炎での入院が重なり踏んだり
蹴ったりのニクソン大統領の元には、自身も肺縁で入院した
ことのある8歳の少年から励ましの手紙が届く。

北軍に解放され自由のみとなった元奴隷は、つましいながら
も家族一緒に幸福な生活を築いていた。その彼の元には元
主人から、帰ってプランテーションの再建に協力してくれ
との手紙が届くのだが、元主人の支配下で送った生活を
振り返りながら正義正しくもきっぱりと提案を拒否する
返事には感動さえ覚える。

徴兵されたエルビス・プレスリー。ファンの女の子3人が連盟
で大統領宛てに出された手紙には「どうか彼のもみ上げを切ら
ないでっ!」との悲痛な叫びが。ファン心理だよね、分かるわ。

「寝言は寝て言え」

白人至上主義者に送られたアラバマ州検事総長の手紙は簡潔
にして痛快。

難題が山積して気難しくなっていく夫ウィンストン・チャーチル
を心配し、「あなた最近冷たくなったわね」と諌める奥様の手紙
も素敵だ。

物理学者リチャード・ファインマンが最愛の妻の死後に書いた
ラブレターの追伸が哀しい。「すまないが投函はしないよ。
きみの今の住所を知らないんだ。」

実際の手紙や電報の写真も掲載されており、どこから読んでも
大丈夫。ただ、大型本なので私は家の中でしかよめなかった
けどね。通勤時に持っていく勇気(?)はありませんでした。

内容はいいんだ。手紙か書かれた背景の解説もあるし。でもね、
このセンスのないタイトルはどうにかならなかったのかしら。