唯一の生存者のけじめ

盛り上がりませんでしたな、民主党の代表選挙。岡田さんですか。
まぁ、妥当と言えば妥当なのかな。

細野氏は見た目が政治家にしてはハンサムだけれど、中身がないから
なぁ。

あの福島第一原発事故のデタラメ対応は忘れないよ。だから誰が
代表になろうと支持はしないけどね。

『そして薔薇は散った ダイアナ妃事故3年目の真実』(トレバー・
リース・ジョーンズ ショパン)読了。

交通事故なんて珍しいものじゃない。毎日、毎時間、世界の
どこかで起こっている。

しかし、997年8月31日、深夜のフランス・パリで起きた交通
事故は世界に衝撃をもたらした。それは、事故を起こした車両に
乗っていたのがイギリスの元皇太子妃、プリンセス・ダイアナ
だったから。

運転手と、プリンセスの婚約者と噂されたドディ・アル・ファイド
はほぼ即死。助かる見込みがあったのはプリンセスと、ドディの
ボディガードであり、本書の著者名に記されているトレバーだった。

このタイトルが私も誤解した原因なのだが、本書はあの事故の
真相を語るものではない。勿論、事故前後の話に多くの紙数が
割かれているが、重きを置かれているのはボディガードという
仕事の内容、トレバー自身の体験である。

未だ謀殺説が根強いこの事故。本書を読むと「これでどうやって
CIAやMI6が謀殺を仕掛けられるのか」と思ってしまう。

問題の夜、警護体制が直前で変更になったのは事故死したドディ
の思い付きだ。それを情報機関がどのように察知できたと言う
んだろうな。

また、事故当初から囁かれた謀殺説はドディの父であり、エジプト
人大富豪のモハメド・アル・ファイドが吹聴して歩いていたのを
初めて知った。

事故後、顔面修復と言う辛い手術から生還したトレバーを待って
いたのは、このモハメド・アル・ファイドの自説に沿う証言を
することだった。

雇い主でもあるアル・ファイドの助けになりたいとは思うのだが、
事故直前のことはトレバーの記憶からすっぽりと抜け落ちていた。

このアル・ファイドとトレバーの弁護士たちとの攻防が興味深い。
そして容赦のないマスコミの攻勢を見ていると、メディアへの
嫌悪感も湧く。

あの事故の唯一の生き残り。だから注目が集まるのは当然なの
だろう。しかし、彼はそれを利用することはなかった。別れた
妻さえもメディアに語ることでなにがしかの金銭を受け取って
いたのに。

実に誠実な人なのだと思う。もし、プリンセスが残したふたり
王子に会うことがあったのなら「すまなかった。でも、どうしよう
も出来なかったんだ」と謝りたいと語っている。

あの悲劇はやはり謀殺などではなかった。プリンセスたちを追い
回していたパパラッチも遠因だったのだろうが、やはり運転手
の飲酒に問題があったのだろう。

そして、ボディガードたちの言うことを聞かず、直前で警護
体制をひっくり返したドディの計画に無理があったのだろう。

著者名こそトレバー本人の名前になっているが、正確には聞き
書きなんだよね。それに固有名詞が多くて誰が誰だが把握する
のに時間がかかった。

書名を変えてくれればしっくりするかもしれない。そこが残念。