信じるも信じないもあなた次第

底冷えするなぁと思ったら、都心でも雪がちらついた。寒いはず
だよね。

明日は冷たい雨らしい。あったくして過ごしたいね。

『戦後史の正体 1945−2012』(孫崎享 創元社)読了。

2年前、新刊書店ではどこでもこの作品が平積みになっていた。
今頃読んで言うのもなんだが、なんであんなに売れたんだ?

アメリカの圧力」という視点で日本の戦後の政治をひも解いて
いるんだが、これは読みようによってはトンデモ本になるのじゃ
ないのかな。

政治家や官僚を「対米追随派」と「対米自首派」に2分した
だけで戦後の日本の政治の動きを語ること自体に無理が
ありはしないか。

そりゃ日本は占領期からずーーーーーっと、アメリカの属国ですよ。
だからって、アメリカになびかなかった政治家や官僚がみんな
アメリカに潰されたってのは少々乱暴だと思うわ。

日米同盟とは言うけれど、それは対等な関係じゃないことくらい
は知っている。アメリカが自国の利益の為だけに他国を動かそう
としているのも知っている。

それは何も日本だけの話じゃない。タリバンだって、イラクだって、
アメリカに利用されて来たんだから。

でも、自国の利益を最優先に考えるのはアメリカに限ったこと
ではないと思うんだよね。日本だって、他の国だってそうでしょ。

本書は「高校生でも分かる」をコンセ
プトにしたシリーズの
1作目。私は2作目の『本当は憲法より大切な日米地位協定
入門』を先に読んでしまったのだが、2作目と比較すると
まるで陰謀史観のような本書を高校生が読んだら鵜呑みにして
しまうのでは?との危惧を抱いた。

だって、対米自主派の政治家や官僚の「その後」で「退官後、
1年で癌で急死」とか「ゴルフ中に急死」なんて書いてある
のだもの。

これでは謀殺された可能性ありって受け取られてしまうよ。
こういう書き方はしない方がよかったんじゃないか。

病気療養を理由に2カ月で首相を辞任した石橋湛山について
なんて、大蔵大臣時代の占領軍経費削減の話しか書いて
いない。

彼はアメリカだけとの単独講和より、中国・ロシアをも含め
た多国籍間講和も主張していたはずなんだけど、この点には
触れてないんだよな。

この著者、『アメリカに潰された政治家たち』という作品も
書いているが、そちらも本書の焼き直しなんだろうな。

確かに日本に対してのアメリカの圧力はあるだろうけれど、
それが「戦後史の正体」としてしまうには危険だ。