娘・宇多田ヒカルに捧げる

東京都知事猪瀬直樹がピーーーーーンチッ。

トラオの徳洲会から5千万円借りました。いや、選挙資金じゃ
ありませんよ。何があるのか分からないので借りておきました。

通じませんから、そんな言い訳。5千万円も一体、何に使う
つもりで借りたんでしょうね。ふふ〜〜ん。

『流星ひとつ』(沢木耕太郎 新潮社)読了。

正直、藤圭子のことはよく覚えていない。多分、私が子供の頃に
活躍した人だからだろう。楽曲も「圭子の夢は夜ひらく」くらいしか
記憶にない。

藤圭子から藤圭似子に改名したことは記憶にあるが、歌手として
の彼女の歌を聴くことはあまりなかった。

そして、私の中では半ば忘れていた彼女の名前が世間で取り沙汰
されたのは、今年8月22日。そう、彼女が自ら命を絶った日だった。

沢木耕太郎が33年前に出版を取り止めた藤圭子へのインタビュー
を元にした本が緊急出版される。ニュースを耳にして、どうしても
読みたくなった。

それは藤圭子への興味からではなく、沢木耕太郎が好きな作家
だったから。でも、本書を読んでいる間、時々藤圭子の歌を動画
サイトで聴いた。

喉の手術をしていたことを知ったのも本書でだった。手術前と、
手術後の声が違うと彼女は話していた。聞き比べた。確かに
違う。手術前の歌声に鳥肌が立った。凄い声だ。この声のまま
だったら、彼女は引退しなかったのだろうか。

地の文は一切ない。会話だけで書かれた本書は、読んでいる
うちに聞き手である沢木氏に同化し、藤圭子の話をもっと聞きた
い、話を聞き出したいと思えて来る。

子供の頃の話、東京に出て来てデビューするまでの話、時には
粘り強く質問を繰り返す沢木氏に対し、藤圭子も話にくかったで
あろうことを口にするようになる。

最初の結婚相手だった前川清との、離婚後の話が素敵だった。
藤圭子前川清、このふたりはお互いを歌い手として尊敬し合って
いたんだろうな。

藤圭子が亡くなった時、娘であり歌手である宇多田ヒカルが出した
コメントがあった。心を病んでいく母を見て来た…と。

今の娘・宇多田ヒカルと同じ28歳だった時の母・藤圭子の精神の
輝きを知って欲しい。その思いで今回の出版に至ったのだろう。

「水晶のように硬質で透明な精神」と沢木氏が表現した、28歳の
藤圭子が本書には凝縮されている。