心優しき無頼漢

「予断を許さない状態」。昨日のニュースではそう言っていたのに、
一夜明けたら訃報に変わっていた。歌手で俳優の安岡力也が
亡くなった。享年65歳。

女優・大原麗子孤独死の原因ともなったギラン・バレー症候群
患い、その後の闘病生活中に今度は肝臓を患う。長男からの生体肝
移植を行ったが、とうとう帰らぬ人になってしまった。

伝説の多い人だった。ここには詳細に書けないような伝説がほとんど
だというのが、いかにも力也らしい。笑。

私は専門学校の時代から社会人になりたての数年間、大晦日の夜
から元日の朝に掛けて行われていたイベントの手伝いをしていた。

主催者である内田裕也の傍にはいつでも力也がいた。自分の仕事が
終わって帰途に就く真夜中過ぎ、挨拶に行くと必ずと言っていいほど
「気を付けて帰れよ」と言って頭をポンポンと叩かれたのを覚えている。

上下関係に厳しく、それでもシャレは理解してバラエティ番組では
ホタテの着ぐるみを着て子供たちにも人気だった。

若い頃は長身で堀の深い顔立ちは格好よかったし、歳を取ってからは
個性的な悪役や義理人情に厚い脇役を演じていた。

自称シシリア・マフィアの血を引くだけあって、ヤクザな役を演じると
本物のヤクザのようにも見えた。あ…20代の頃、本物のヤクザが
力也の迫力にびびって道を譲ったなんて伝説もあったな。

65歳、まだ若いよな。残念だ。自身の持ち歌のように「心優しき無頼漢」
だった力也。ゆっくりおやすみなさい。ご冥福を祈る。

引き続き『毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958▼
1962』(フランク・ディケーター 草思社)を読む。

自然は征服すべき敵だって?毛おじさん、頭、大丈夫??