遺言か恨み節か

3月10日は東京大空襲から67年目だった。その翌日、3月11日は
東日本大震災から1年を迎えた。

そして今日、3月20日オウム真理教による地下鉄サリン事件から
17年目を迎える日となった。

春に向かい、気持ちが明るくなるはずの3月なのに、こうやって並べて
みると3月は哀しみの月ではないか。

元教祖は、事件について結局は何も語らなかった。未だあの凄惨な
事件の真相は分からず。いつか、分かる日が来るのだろうか。

あの日、亡くなった方のご冥福を祈る。合掌。

『菊の御紋章と火炎ビン 「ひめゆりの塔」「伊勢神宮」で襲われた今上天皇
佐々淳行 文春文庫)読了。

「ブント」なんて言葉も分からない世代の方が多いのだろうな。「アジビラ」とか
「パイプ爆弾」とかもそうか。

今じゃ見る影もないが、左の方たちが元気な…否、元気過ぎた時代があった。
東大安田講堂あさま山荘等で警察側の指揮を執ったのが著者である。

そんな危機管理のプロフェッショナルが、今度は今上天皇が皇太子時代に
遭遇したふたつの事件を柱に語っている。

返還から3年目の沖縄で、伊勢神宮参拝で、「火炎ビンが飛びます」と言う
著者の言葉を誰も信用しない。「そんなこたぁないだろう。大袈裟な」。

でも、それが本当に飛んで来ちゃうのが凄いし、飛んで来ることを前提と
した訓練を施しているのもさすがだ。

数々の修羅場を潜り抜けて来た著者ではあるが、官僚組織の中では
出世コースに乗ることなく警察を去っている。

その恨み節が随所に見られるのはミスター「危機管理」もお年を召された
ということか。まぁ、警察に限らず組織なんてものは「出る杭は打たれる」
のだけれどね。

著者の皇室への思いを読んでいると、この先の皇室の在り様を憂いて
いるのが分かるし、ある部分への批判と読み取ることも出来る。「文庫版
あとがき」では民主党政権への危惧も記されている。尚、菅直人について
書かれている部分は笑いながらもかなり納得出来たぞ〜。

危機管理とはいかにあるべきかを考える為の良書である。