殺すか殺されるかの世界に身を置いて

千葉県野田市で、小学校4年生の女の子が父親からの虐待で死亡した
事件。アンケートに書かれた必死のSOSだったのに、それを父親に
渡してしまった教育委員会ってなんだよ。

誰が、女の子を殺したんだ?

『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』(ジュゼッペ・
グラッソネッリ/カルメーロ・サルド 早川書房)読了。

マフィア映画の名作『ゴッド・ファーザー』のドン・コルレオーネは、
実在したマフィアのボス何人かのエピソードを寄せ集めて作られた
人物だ。

だからか。マフィアを扱ったノンフィクションにはまるで映画の
筋書きのような作品が多い。だって、マフィア撲滅運動に尽力した
検察官が、高速道路を走行中の車ごと爆殺されちゃう事件が現実に
起きるのだもの。

本書は伝統的なマフィア組織コーザ・ノストラに家族を虐殺され、
復讐の為にコーザ・ノストラと対峙した信仰犯罪者集団を率いた
男が綴った半生の記である。

シチリア島で生まれた著者は子供の頃から悪さを繰り返し、17歳に
してドイツへの逃亡を余儀なくされる。そこでいかさまギャンブラー
となる。そして、久し振りに帰京した際に遭遇した襲撃事件。

自分の一族とコーザ・ノストラとの間にあった過去の軋轢、次々に
親族の男たちが殺されることへの衝撃、そして芽生えた復讐心。

ドイツに戻り、ギャンブルで儲けた金を惜しげもなく武器の調達に
つぎ込む。コーザ・ノストラに不満を持つ者たちと同盟を結び、
愛する祖父や叔父たちの復讐を果たして行く。

と書くと格好いいのだが、復讐心も勿論あったのだろうが、一番の
動機は自分の身に危険を感じたことなんだろうな。塀の外の世界に
居続けたのなら、常に命を狙われることになるのだから。

27歳で逮捕された著者は死刑制度の廃止されたイタリアでは最高刑
である終身刑を言い渡され、本書も獄中で執筆されている。

自分の人生を振り返って反省している点もあるが、結局は暴力の世界
に身を置くと頃sれるか、逮捕されるかしないと苑からは抜け出せない
のではないのかな。特にマフィアのような犯罪集団に目をつけられれ
ば尚更だろうな。

尚、復讐劇が幕を開けるまでの著者の女たらしぶりには「イタリア男
の本領発揮か」と言う感じ。金も車も女も自由自在の生活からすべて
に厳しい制限のある獄中生活の落差って凄いだろうな。