法の下でさえ平等ではない

安倍様は北朝鮮のミサイル発射を事前に知っているって本当
かしら。だったら、通過してからJアラートなんて鳴らしてないで、
「明日、ミサイル飛びますよ。気をつけてね」ってアナウンスを
したらいいのに。

安倍様支持率ピンチになるとミサイルが飛んでくるよね、北朝鮮
から。もしかして、北の三代目との間にホットラインとかあるのかな。

「すまん、ピンチだ。飛ばしてくれ」とか。まさかねぇ。

『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』(ブライアン・
ティーブンソン 亜紀書房)読了。

白人警官が無抵抗の黒人を射殺する事件が続いたことがあった。
アメリカに奴隷制度が存在していた時代ではない。アフリカ系アメ
リカ人のバラク・オバマ氏が大統領を務めていた、つい最近だ。

すべての白人が差別主義者ではないが、やはり肌の色の違いが
人々の心に大きな垣根を作っている。

アメリカ南部では今でも白人至上主義が根強い。その南部アラバマ州
のある町で、白人の少女が殺害された。愛らしい少女の死に多くの
人が衝撃を受けた。警察の捜査にも関わらず、犯人は一向に逮捕
される気配がない。

市民は警察の能力を疑い、批判した。一刻も早く犯人を見つけなれば
警察の信用は地に墜ちる。そして、突然、容疑者が浮上した。木材の
伐採で安定した収入を得ていた黒人男性ウォルター・マクミリアンだ。

物的証拠も、状況証拠もない。あるのは、他の事件で収監されていた
犯罪者の証言だけだ。明確なアリバイもあり、そのアリバイを証言して
くれる人も多数いたのに、警察は彼を少女殺害の犯人だとして裁判に
かけ、死刑を確定させた。

本書はマクミリアンの事件を中心に、アメリカの司法の不正義のせい
で人生のある時期を不当に拘束された人々の事例と、弁護士である
著者が様々なケースに対して司法の現場でどのように戦って来たか
を記している。

あまりの理不尽に愕然とする。マクミリアンの事例ばかりではない。
未成年にさえ仮釈放なしの終身刑が課されていた時代から、何十年
も矯正施設に拘束されたままの元少年たちのなんと多いことか。
終身刑だけではない。少年と言えども死刑宣告さえ出されている
のだ。

根底には差別意識がある。黒人だけではない。白人であっても貧困層
であれば司法は厳し過ぎる判決を下す。これには近年の刑の厳罰化
も影響しているのだろう。

冤罪はどこにでも、簡単に生まれる。司法がすべて正しい裁きをするな
どと思うのは、それこそ頭がお花畑だ。罪を犯したのなら裁かれるのは
当たり前だが、その罪を裁く場に不正が横行しているのなら正義など
どこにもないと思う。

日本でも冤罪が疑われる事件の再審請求には膨大な時間がかかる。
アメリカでも一緒だ。著者は拘束施設に何度も足を運び、助けを求め
ている人たちの話を聞き、事件を掘り起し、当時の裁判では採用され
なかった証拠や証言を集め、救いのない日々を過ごしていた受刑者
たちの自由を勝ち取って行く。

すべてがうまく行ったのではない。再審が認められず、刑を執行された
死刑囚もいた。闘い続けるなかで心が折れそうになることもある。それ
でも著者と彼の仲間たちは、判決の不当を訴える収容者の為に今も
闘い続けている。それは、著者もまた貧しい少年時代を過ごした黒人
だからでもあるのだろう。

知的障害があるにも関わらず、なんの考慮もされずにいた収監者を
助けようとある矯正施設を訪れた時、白人至上主義を隠しもしない
バンパーステッカーを貼ったトラックを見かけた。持ち主はその施設
の矯正官だった。

弁護士である著者にも差別意識丸出して対応した矯正官だったが、
再審の法廷で著者の弁論を聴いたことで矯正官の心が変わった。

この矯正官の変化は本書を読んでいて救いだった。著者たちの活動
を通じて、人の心の奥底にある偏見や差別意識が変われば司法の
場でも不当な裁きを受ける人が減るのではないかと思う。

法の下の平等。罪を犯したとしても、誰もが正しく裁かれることが
本当の正義なのではないだろうか。