冷温停止状態というまやかし

安倍晋三オバマ大統領を「バラク」とファーストネーム
呼んだ時には、「あ…すいません、気安く呼んじゃって」と
テレビ画面に向かって謝っていた。

その安倍晋三を超えたのが麻生太郎くん。

大統領ご本人に向かって言った訳じゃないけれど、「オバマ」って
呼び捨てかよ。

「生まれはいいが、育ちは悪い」と太郎くん自身が言ってい
たのをどこかで読んだが、せめて呼び捨てはやめようよ。
アメリカの大統領なんだからさ。

福島原発事故・記者会見2 「収束」の虚妄』(木野龍逸
 岩波書店)読了。

東京電力の下請け会社が、次々と廃炉作業から撤退して
いるとの報道があった。さもありなん。

当時の野田首相が「冷温停止状態」などという、どういう状態
なのかよく分からん言葉まで使って福島第一原発の事故収束
宣言を出した。

会見の模様をテレビで見ながら「どこが収束してんだよ」と
プンスカしながら突っ込んでいたっけ。

本書は前著『検証 福島原発事故・記者会見−東電・政府は
何を隠したのか』に続く第2弾である。

野田首相が行った収束宣言は、政府と東電に都合のいい
ものだった。だって、「事故は収束しましたよ」って言って
しまえば「もう危険じゃありませんよ」と同じだもの。

でも、危険なのには変わりはないのだ。それなのに、原発
内で作業にある作業員さんの危険手当は削られ、避難して
いる方たちの一部は一方的に補償をストップされる。

東電が一部を公開したテレビ会議も当初は録画していない
と言い張ってたんだね。しかも、公開するに当たっても
かなりの条件をつけている。

時が経つごとに東電の記者会見の回数もどんどん減って来
ている。そうして、メディアも時折、思い出したように取り上げ
るだけ。

福島の人たちのみならず、多くの国民を不安にし、巨額の税金
を投入し、それでも東京電力は変わらない。情報の公開より
も、保身が第一。

東電が、監督官庁が、保安院や安全委員会が、それぞれに
責任逃れをし、そのツケを引っ被るのは一体誰だ?

前著よりも記者会見の記述は少なくなっているが、それでも
東電と政府の欺瞞を暴き出している。

忘れちゃいけない。原発事故は終わっていない。汚染水は
今でも漏れている。廃炉への道は遥かに長い。作業員さん
の労働環境だって改善していない。

何よりも、避難している人たちが故郷へ還るめどが立って
いないのだから。