打ちのめされる幸福

森友学園の籠池夫妻が拘束されて既に3か月を超えた。未だ家族
との接見も許可されていないらしい。

おかしくないか?起訴したってことは既に検察は起訴するに足る
証拠を握っている訳で、籠池夫妻に証拠隠滅は出来ないってこと
じゃないの?なのに、起訴後の釈放もなく、延々と拘留されている。

釈放するとメディアが騒いで森友問題が再燃するから?それは安倍
政権にとっても都合が悪いから?

日本の司法は死んでる。この点はアメリカがうらやましい。

深代惇郎天声人語』(深代惇郎 朝日文庫)読了。

専門学校時代、短文を書く練習をした。お手本は朝日新聞朝刊コラム
天声人語」だ。まずは毎日、書き写すところから始めた。今でも
休刊日以外の毎日、書き写している。それで文章が上達したかと聞か
れれば、はなはだ怪しい。

文章を書くことを仕事にしていた時期がある。長い文章を書くのは
簡単なのだ。形容詞を多用し、だらだらと書いて行けばいくらでも
行数が稼げる。

だが、過不足なく短文で要所を抑えた文章を書くのには難儀する。
今でも苦手だ。実は本の読後感も「1000文字以内」という目標を
設定しているのだが、なかなか目標通りには行かない。

天声人語」には歴代の書き手がいる。なかでも稀代の名文家で
あり、46歳の若さで亡くなった深代惇郎は私の短文の神様である。

本書は深代の同期であり、後を継いで「天声人語」を担当した辰濃
和男の編集になる深代天声人語のベスト版である。

やはり打ちのめされるのだ。文章の巧みさだけではない。広範な
知識や教養の深さが、嫌味なく感じ取れるところに「いくら勉強
してもこの人のような文章は書けない」と思い知らされる。

深代も新聞記者である。しかし、大上段に構えた文章ではないのだ。
深代本人が「民の言葉を天の声とせよ」と書いた通りに、権力を批判
する文章は、読み手側の視点に立っていることが多い。

ベスト版とののことで年代順ではなくテーマ別の編集になっている
ところは少々いただけないが、深代惇郎が生きて書いた時代に間に
合わなかった世代でもその文章を味わえ、打ちのめされることが
出来ることに感謝する。

あと2冊。「続」と「最後の」が文庫で発行されており手元にあるの
だが、一気に読んでしまうと楽しみがなくなってしまう。2冊はもう
少し後に取っておこう。