機械もいいけど人間もね

「続きはwebで」なんていうテレビ・コマーシャルが一時流行った。
なんでもインターネットの世の中。でも、それじゃ高齢者には不便
なのだという投書が今日の新聞に載っていた。

これ、電話での問い合わせにも言えるんだよね。人件費削減なの
だろうが、問合せ先に電話をするとガイダンスが流れることが多い。

問い合わせ内容によって「○を押してください」って言われる。該当する
番号がないとどの番号を選択すればいいのか悩む。

それにガイダンスの音声というのは聞き取りやすくはないんだよね。
高齢者の方なら余計に戸惑うだろう。

私自身、現在コールセンター業務をしているから分かるのだけれど、
問い合わせ自体は非常に簡単なことだけれど、単に話を聞いて欲しい
だけのお客様ってのもいるんだよね。

また、高齢者の方じゃないけれど他の問い合わせ先の電話番号を
案内すると「これ、直接人と話せる?」と聞かれることも多い。

機械化・簡略化結構だけれど、人と人が接することも大切なんだ。
でも、この先はどんどんとコミュニケーションも薄れていくのだろうな。

『戦争ゲーム』(デイビッド・ハルバースタム 講談社)読了。

不謹慎だが綺麗だなぁと思った。湾岸戦争の時、テレビ画面に映し出された
爆撃の場面である。真っ暗な空にミサイルが飛んで行く。まるで、夏の夜の
花火のようだった。

サダム・フセイン率いるイラク軍がクウェートに侵攻したことから始まった
戦争は、多国籍軍が展開してからわずか4日で決着した。

時のアメリカ大統領はパパ・ブッシュパパ・ブッシュフセインを憎む
べき独裁者としてアメリカ国民に意識させた。

しかし、そのフセインはホメイニが健在だったイランをけん制する為に
アメリカが利用していた。後にアメリカに牙を剥くオサマ・ビンラディン
ソ連をけん制する為に利用されたように。

そんなことさえなかったように、フセインは西側世界の憎悪の対象となった。
それまではフセインの危険性にまったく配慮もしていなかったのに。

本書は湾岸戦争当時にリアル・タイムで日本の雑誌に掲載された
エッセイ風の湾岸戦争解説である。

これはまで多くの資料・証言を積み重ねて世界各地の戦争について
書いて来たハルバースタムにしては珍しい作品だ。

サダム・フセインと戦った多国籍軍は、さまざまな国々の寄せ集め
からできていたが、そのなかには、アメリカとシリアのように、同盟
できるとはそうてい思われない組み合わせも見られた。そうした
国々を結び付けていたのは、むしろネガティヴな要素だった。彼らは、
それぞれ違った理由でサダム・フセインを憎んでいるという一点で
結びついていたのである(ブッシュ政権下のアメリカは、フセイン
存在そのものを憎んだ。それに対し、アサド政権下のシリアは、
おそらくフセインのしていることを羨んでいたのであり、もし機会が
あれば似たようなことを平気で実行するだろう)。」

フセイン政権が崩壊しても、中東には平和は訪れなかった。
湾岸戦争は一体、誰の為の戦争だったのか。自動車事故で亡くなら
ければ、じっくりと湾岸戦争を描こうとしていたのんだよな、彼は。
残念だ。