アンソロジーは福袋

う〜ん…4月30日午後5時から退位礼正殿の儀で、5月1日の
午前10時から剣璽等承継の儀と即位後朝見の儀ということは
ですよ。

皇統が途切れるってことじゃないですか?半日以上も空位
なるじゃん。政府の式典委員会に保守皆無だろう。

『明治のベースボール ’92年版ベスト・エッセイ集』(日本エッセイ
スト・クラブ編 文春文庫)読了。

このシリーズもリサイクル書店で見掛けると必ず購入する。
日本エッセイスト・クラブが厳選したエッセイ集なので、
どの作品も外れなし。

表題作である大谷泰照「明治のベースボール」は東京大学野球部の
連敗記録の話から、東大教養学部の前身・第一高等学校がアメリ
人チームに圧勝した明治29年を振り返っている。

メチャクチャ強いんですけど〜、一高。29対4の大差で買っている
のだもの。「体格も技量も敵ではない」と舐めてかかったアメリ
人チームはその後に雪辱戦を申し込んでいるのだが、これにも一高
が余裕の勝利なのである。

柴田大成「臭いものには蓋」では、洋式便器の蓋は実は蓋ではなく
椅子であることを知る。そこに座って靴や靴下を脱いだりするそう。
へぇ、なるほどね。と思って自宅の便器を見れば、座れるようには
出来ていなかった。

ほろりとしたのは小松紀子「紀子先生のお話」。女医として舅が
開業医をしている医院で診療を始める。女医さんが珍しかった
時代だ。「おなごの医者かぁ」と不満露わな患者、紀子先生は
なかなか診察をさせてもらえない。

年月が経ち、舅も鬼籍に入った。医院のちかくのお年寄り亡くなった。
その葬儀の席で紀子先生はおばあちゃんたちの一団に囲まれる。

「紀子先生、偉いお医者にならんといてね、ずっとここに居てや。
私らが死ぬ時も診てほしいわい」

紀子先生、この言葉できっと辛かった日々が一気に吹っ飛んだので
はないだろうか。

他にも味わい深いエッセイが全60編。どこから読んでも楽しめる
と思う。