悔しい。憎い。でも、許す。

『許せないを許してみる 籠池おかん「300日」本音獄中記』(籠池
諄子 双葉社)読了。

稲田朋美さんが防衛大臣を辞めて防衛省を去る際、記者の方から
ふいに辞任の心境を聞かれ、「空です」と答えられました。その時、
私は「違う」と思いました。
 稲田さんが防衛大臣辞任の際に口にした「空」は、何も答えられ
ない、考えていない、という心境を「空」という言葉で表現したの
だと想像します。」

鋭いな、籠池のおばちゃん。親分の安倍晋三と一緒で、稲田朋美
勇ましいことは言うが中身空っぽ、空洞の人だものな。

自宅や学園をがさ入れされて、何もかも大阪地検に持って行かれた
上、逃亡の恐れも今日子隠滅の恐れもないのにありえないほどの
長期間に渡って身柄を拘束された森友学園の籠池夫妻。

明らかに口封じだよね。籠池のおっちゃんとおばちゃんに自由に
話をされたら困る人がいるんだよね、国の上の方に。国策捜査
だし、人質司法だよ、こんなもん。

大体、籠池のおばちゃんまでが身柄を拘束されるのがおかしくない
か?本書はそのおばちゃんが勾留中の大阪拘置所から弁護士宛に
出した手紙をまとめた1冊である。

純粋な人なんだなと思う。学園で行っていた教育内容の方向性は
ともかくとして、心底、子供たちが好きで、子供たちのことを
思って接して来たんだろう。

そこが金儲け主義の加計孝太郎と違うところなんだろうな。実際、
籠池のおっちゃんは安倍昭恵の紹介で加計学園系列の御影インター
ナショナルこども園を見学に行き、「お金儲けの学園」との印象
を持ったらしい。

逮捕前、報道陣に向かって「安倍首相、もうお父さんをいじめないで」
と叫んでいた籠池のおばちゃん。安倍夫妻に、稲田夫妻に、日本会議
裏切られ、「籠池?知らんわ」みたいに手のひらを返されたのだもの。
寄ってたかっていじめられたようなものだよな。

憎いだろうに、悔しいだろうに、それでもおばちゃんは嘘を吐き続ける
人たちを「許す」と綴る。それは極端に制限された拘置所での生活を
「神から与えられた試練」と捉えることで、平常心を保とうとしたの
だろうかと思う。

そうじゃなきゃやってられなかったんじゃないかと思うわ。家族との
接見は禁止され、空調設備もなく、垢の浮いた風呂を使わなきゃなら
ない生活なのだもの。

政府はうやむやのうちに森友学園問題を終わらせたいみたいだが、
その手には乗らないぞ。だって、安倍昭恵の関与は明らかなのだ
と感じるから。

本書では森友学園問題に関しての目新しい事実はない。だが、不当に
身柄を拘束された人の心の叫びが詰まっていた。

籠池のおっちゃんも何か書いてくれないかなぁ。