あんちゃん、フェイクだよっ!

「家族から引き離された子どもは見たくない」
「あらゆる法律に従うだけでなく、心ある統治をする必要がある」

アメリカ・トランプ大統領の奥様であるメラニア夫人が、珍しく
政治的な声明を出した。現政権の不法移民対策で、親子が引き離さ
れる事態が相次いでいることに対しての批判だ。

ラニア夫人だけではない。歴代のファースト・レディたちが続々と
批判の声を上げている。

小さな娘と離れ離れになる前に、靴ひもを結び直してあげている母親
の動画を見た。心が痛かったよ。メラニア夫人、もっと声明を出して!

『世界を動かした「偽書(フェイク)」の歴史』(中川右介 KKベスト
セラーズ)読了。

文章は神代文字で書かれ、神武天皇の前には72代の天皇が存在し、
キリストもモーゼも日本に来たことがあり、天皇に仕えていた。

日本は全世界の中心で、ある代の天皇係累が世界中に散らばり、
天皇は空飛ぶ船で世界各地を文字通り飛び回っていた。

すげぇ、日本。安倍晋三が言う「世界の中心で輝く日本」は実際に
あったのかよっ!

とは、思わない。これ、偽書として名高い「竹内文書」の内容だから。
でも、偽書と分かった上で読むと面白いのだ。「ほほぅ、こんなこと
があったのか」「文明、めっちゃ進んでるじゃん。超古代なのに」と
かね。

一方で明らかに整合性に欠ける記述があっても信じてしまう人たちが
いるのも確か。時には真贋論争の的になり、時には歴史を変えてしまっ
たりした29の偽書を紹介しているのが本書だ。

250ページ少々で29の偽書を扱っているので、かなり駆け足的なのは
仕方ないとしても、「死海文書」や「古事記」、朝日新聞痛恨の捏造
記事「伊藤律インタビュー」をも含めてしまうのはどうなのだろう。

対象を絞って、それぞれをもっと掘り下げた方が良かった気がする。
東日流外三郡誌」なんて、偽書であることを検証した過程を1冊の
作品として発行されているのだから。

まぁ、ブックガイドの類として参考程度に読むにはいいかも。紹介され
ている偽書については巻末に参考文献が掲載されているので、「もっと
知りたい」と感じたら、改めて参考文献の方を読むのがいいかな。

私には少し食い足りなかった。

しかし、古今東西、捏造・偽造は後を絶たないんだな。あ、公文書の
改竄ってやっぱり偽書扱いになるのかしらね。