崩壊国家の中のハイパー民主主義

やっぱりな。日大の文書回答に関西学院大学側は納得しませんでした。
ま、当然でしょうね。

アメフト部の悪質タックル問題で学長まで会見した日大。学生たちに
「大学のイメージ下げる行動は慎め」とお達しを出したらしい。

「はぁ?何言ってんの?イメージ下げてんの、お前らだろう」と学生
たちは反発しているそうだ。これも当然の反応でしょうな。

『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランド
戦国南部ソマリア』(高野秀幸 集英社文庫)読了。

ソマリアと聞いてすぐに思い浮かぶは映画「ブラックホークダウン」
と内戦、そして海賊。

知りもしないで物騒な国との認識しかなかった。だって、映画の印象
があまりにも強烈だったのだもの。それに、ソマリア連邦共和国との
正式な(?)国の名前があるのに、崩壊国家に認定されているから。

しかし、そんなソマリアに民主主義を達成して独立国を名乗る地域
があった。それが本書で取り上げられているソマリア北部のソマリ
ランドである。

しかも氏族の長老たちが話し合って内戦を終結し、武装解除も達成
し、十数年も平和を保っているという俄かには信じられない国。

だって、アフリカって大抵の国で紛争が絶えないではないか。そんな
絵に描いた餅のような国があるはずがない。

でも、現実にソマリランドは平和だった。それは著者が現地を訪れた
際に外国人であるにも関わらず護衛もつけずに街中を歩き回れたこと
に象徴されているのではないか。

何故、ソマリランドは平和を達成できたのか。同じく独立国を主張する
お隣のプントランドモガディシュを首都とする南部ソマリアとの違い
を、それぞれ自身の体験と現地の人たちからの聞き取りで解き明かして
いる。

欧米が押し付けた民主主義ではないから、ソマリランドでは平和が保たれ
ているとの話には説得力があると思うんだ。

アフガニスタンイラクを見れば分かる。「俺たちがこの国に民主主義を
もたらしてやるぜ」という大国の思惑で、国が壊れてしまっているでは
ないか。

まれに日本で報道されるソマリアの状況だけでは分からない内容が盛り
だくさんだ。本当のソマリアを、ソマリ人を知ろうとしてカート(麻薬
植物)宴会で現地の人たちの中に入り込んで行くのだもの。

著者ならではのユーモアもあり、500ページを超える大作だが中だるみ
せずに読める。続編となる『恋するソマリア』もそのうち読まなくては。