宗教の黒船がやって来た

4月から朝日新聞の書評欄が日曜日から土曜日へ移行した。
に1カ月が経過しているのだが、未だに慣れない。

家事が一段落した日曜日の昼前、ゆっくりと書評欄に目を
通すのが習慣だったのになぁ。

『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』(若桑みどり
 集英社)読了。

遠い昔、学校の授業で習ったはずなのだがまったく記憶にないのは
どういうことか。隠れキリシタン天草四郎は覚えている。なのに、
天正遣欧少年使節については長じてからヴァチカン関連の作品の
なかで触れられていたことしか覚えていない。

九州のキリシタン大名の名代として1582年にローマへ派遣された
4人の少年を中心とした使節団なのだが、本書ではキリスト教
日本上陸から描かれているので使節団がなかなか日本を出発しない。

イエズス会vsフランシスコ会の確執やら、イエズス会が布教の一環
として行った福祉活動など。膨大な資料を駆使して描かれているの
でまったく飽きさせない。

勿論、物語の中心は4人の少年使節なので彼らが日本を出発し、
ヨーロッパへ到着するまでの航路や、ヨーロッパ各地で歓待さ
れた様子、帰国後の運命のことを詳細に綴っているがそれだけで
はない。

信長・秀吉と、時の権力者が宗教をどのように政治に利用して来た
か。信長は何故・誰に殺されたかの考察も参考になる。

そう言えばいつだったか、上岡龍太郎が信長殺しは光秀ではない
との話をしていたのをおぼろげに覚えている。

実は日本史が苦手なので無意識に避けて来た。しかし、本書のような
作品を読むと好奇心を刺激される。

そして、巻末の資料一覧に目を通すとくらくらする。歴史を描くのは
まさに資料との格闘なのだ。著者が格闘してくれるから、読み手は
新たな興味を呼び起こされるのだ。

日本史、勉強しなきゃいけないわ。こんなに面白いのなら。

それにしても、キリシタン弾圧がなかったら日本はどうなっていた
のだろうな。