英雄となり、逆賊となり、星になった

安倍晋三の訪米に随行していた柳瀬氏が帰国するタイミングで、
文部科学省から愛媛県との面会に関するメールが出て来たね。

「国会で話してもいい」と公言している愛媛県知事、記憶障害の
ありそうな柳瀬氏。さて、どちらが信用できますかね。

西郷隆盛紀行』(橋川文三 文春文藝ライブラリー)読了。

NHK大河ドラマ西郷どん」に便乗した訳じゃないんだからねっ。
「次に何を読もうかなぁ」と迷って、適当に文庫本の山から取り出し
たら西郷さんだっただけなんだからっ。

西郷さんと言えば子供の頃から馴染んだ上野のお山のあの銅像なのだ。
こんな立派な銅像が立つ人なのだから、凄い人なんだろうなと思って
いたのは子供の頃。

日本の近現代史を勉強するうちに英雄でもあり、逆賊でもあったのを
知り、不思議なお人だなと思った。その思いは今でも変わらない。

どうやら勝海舟も私と同意見だったらしく、「西郷といふ奴は、わから
ぬ奴だ。少しく叩けば少しく響き、大きく叩けば大きく響く。もし馬鹿
なら大きな馬鹿で、利口なら大きな利口だらう」と坂本龍馬に述べたとか。

明治維新の最大の立役者、そして自らも参加して作り上げた明治政府に
背いた反逆者としての部分が大きく取り上げられる西郷さんだが、本書
に掲載されている島尾敏雄氏との対談で語られているのは、西南諸島に
流刑にされた時期を抜きにして西郷さんを語れないのではないかとの
論は目新しかった。

この対談、徐々に西郷さんの話から離れて行ってしまう部分もあるのだ
けれど、ふたりの語る東北論なども面白かった。

また、安宇植氏(朝鮮語文学研究者)との対談で取り上げられている、
朝鮮側から見た征韓論も興味深い。西郷さんが当初の決定通りに朝鮮
半島に派遣されていたのなら、後の日本と朝鮮半島も異なったものに
なっていたかもしれないなと感じた。

急速に脱亜入欧を目指した明治政府に対し、西郷さんは失望してお国に
帰ってしまったのだろう。西郷さんが目指したのはアジアの一員として
の明治政府なのではかったろうか。

そこには西郷さんに目をかけた薩摩藩主・島津斉彬の影響もあったの
ではないかとも想像できる。本書でも書かれているのだが、斉彬の死後、
西郷さんはずっと自身の死に場所を探していたのかもしれない。それが、
圧倒的に不利であった最期の戦い、西南戦争だったのかもな。

こうやって西郷さん関連の作品を読んでもやっぱり不思議なお人との
印象は変わらないんだよな。でも、西郷さんはそれでいいのかもな。
だって、西郷星となったんだから。

それにしても、若き日の明治天皇は西郷さんに対してどう感じていた
のだろうか。気になるけどきっと手掛かりになるものは残っていない
だろうな。