わたしゃひたすら飯を炊く

自民党って凄いセンスしているな。過労死遺族の公聴会ワタミ
ミキティを出して「週休7日が幸せか」と遺族に聞いてみたり、
レイシスト杉田水脈を「差別問題に関する特命委員会」の委員に
したり。

挙句、今日の国会での質問者に森友学園で講演した過去のある
青山繁晴センセイや、ネトウヨ議員・和田宗政センセイを出して
来たり。

やっぱり腐ってるわ。

『海軍めしたき物語』(高橋孟 新潮文庫)読了。

軍隊の主計課って漠然と経理を管理するところだと思っていたのだが、
軍艦などでの烹炊、いわゆる乗組員の食事を用意する部署でもあった
のね。

本書は昭和16年に徴兵で海軍主計課に配属され、戦艦「霧島」の
「めしたき兵」だった著者の回顧録だ。

真珠湾攻撃にもミッドウェイ海戦にも参加した「霧島」だが、めしたき
兵だった著者は戦闘は一切知らず。ひたすら烹炊所で乗組員の食事作り
に精を出す。

それも事あるごとに先任のめしたき兵からしごかれながら。ビンタは
日常茶飯事、同年兵の連帯責任で不意に行われる腕立て伏せ。完璧な
いじめだが、添えられたイラストの雰囲気もあり文章もユーモラス
なので陰惨さはあまり感じられなかったのが救いかな。

戦艦に乗り組んでいながら海を見る機会もほとんどなく、艦がどこを
目指して航行しているのかも分からない。

もうひたすら飯炊き。野菜や魚を切って、味噌汁を作って、ご飯を炊い
て、後片付けをしての繰り返し。

夜食のお汁粉が甘くならないからとどんどん砂糖をぶちこんで、「塩を
入れんか!」と怒られ、一握りの塩を入れたらめちゃくちゃ甘いお汁粉
になって、甘さを薄める為に水を追加するなんて失敗もしている。もれ
なくゲンコツが飛んでくるのだが。

いや〜、太平洋戦争時の回想録でまったく戦闘場面のない作品も珍しい。

尚、戦艦が戦闘状態に入っている時の食事は、五目御飯のおにぎりなのだ
そうだ。それも鶏肉ではなく牛肉を使うらしい。牛肉の五目御飯かぁ。
作ってみようかな。

著者は「霧島」乗艦時に経理学校の試験を受け、見事合格。艦を降りて
のちのエピソードもあり、この人には運がついて回っていたのだなと
思った。

こんな戦争の思い出話もいいかも。