北総台地の百姓一揆

希望の党民進党統一会派ねぇ。どうなんでしょう。「排除した」
側と「排除された」側が、今度は「仲良くしましょう」っていうの
は上手くいくのかしら?

先の衆院選前にあんなにゴタゴタしたのは一体、なんだったんだ?
ねぇ、細野豪志さん。統一会派の件についてはだんまりだけど。

『農地収奪を阻む 三里塚農民怒りの43年』(萩原進 星雲社
読了。

仕事も含め、頻繁に海外へ行っていた時期がある。今のように行先に
よっては羽田空港が利用できる頃ではなかった。国際線といえば成田
空港だった。

成田空港を利用する度にどこか後ろめたい気持ちになったのは、子供の
頃にテレビ・ニュースで見た、建設反対派の鉄塔が倒される映像のせい
だったのかもしれない。

国際空港の建設予定地は当初、霞ケ浦だった。しかし、地盤の弱さが
問題視され、現在の成田に決定した。それも閣議決定で一方的に
決められた。

特に三里塚は開墾地である。なにもないところから農地にできるよう
開拓された土地である。そこを「空港を作るから出て行け」と言われ、
「はい。そうですか」と出て行ける訳がない。

本書の発行は2008年だが、著者の萩原氏は2013年に急死されている。
なので、本書は三里塚芝山地区で空港建設が決定された時からの農民
たちの抵抗の貴重な記録であると共に、農業を考え直す書にもなって
いる。

つくづく思う。成田空港建設については公共事業ならぬ、強行事業で
あったのだなと。建設反対派に対しては「ごね得」などと言う人もいる
かもしれないが、せっかく農地として使えるようにした土地を、いい
条件が提示されたからと言ってホイホイと手放す農家がいるだろうか。

国と公団(当時)側による反対派の切り崩しと弾圧、反対派のなかからの
裏切り。そのなかで43年間も闘い続けた怒りの持続に敬服する。

成田空港は未だ完成はしていない。敷地内にフェンスで囲まれた横堀
鉄塔があり、一坪共有地がある。

本書は文章が多少読みにくいが、権力に真っ向から闘いを挑んだ農家の
方たちの歴史を知り、成田空港の成り立ちを理解するのには良書。

世紀を越えた北総台地百姓一揆は、今も続いている。