奇跡は本当に起きたのか

今年もあと数時間。と、毎年書いているような気がする。
ま、それだけ今年も無事に年が越せるってことだね。

今年も政治に腹を立て、のほほ〜んと仕事に行って、のほほ〜ん
と家事をして、のほほ〜んと本を読んで、適当に感想を書いて、
皆様におつき合い頂きました。有難うございます。

仕事では少々ごたごたしてるが、プライベートでは我が家の白くま
が少々昇進して海外出張が増えている模様。

今年もお世話になりました。皆様にとって新しい年が更なる良き年
でありますように☆

ルルドへの旅 ノーベル賞受賞医が見た「奇跡の泉」』
(アレクシー・カレル 中公文庫)読了。

スペインと国境を接するフランス南西部のルルド。1858年2月に
ひとりの少女の前に聖母が現われた。何度かの邂逅ののち、聖母の
言葉に従って少女が洞窟の土を掘ると泉が湧き出した。

病気や怪我を治癒する奇跡の泉として有名な「ルルドの泉」で、
後にノーベル医学賞を受賞することになる若き日のアレクシー・
カレルが目撃した奇跡を小説仕立てで書き残したのが本書だ。

カレルが巡礼団に同行してルルドを訪れたのは1902年。結核
腹膜炎を患う若い女性は、ルルドの泉を訪れる予定の昼にはいつ
亡くなってもおかしくない状態だった。

それが泉の水を腹部にかけただけで、腹部の膨満は消え、その日の
夜にはベッドに起きがれるまでに回復した。

科学では説明のつかない事象がある。それは分かる。しかし、これは
どう考えたらいいのだろうか。死に瀕していた人が劇的な回復どころか、
全快してしまうなんて。

現在のように医学が発達していた時代ではない。診察はもっぱら医師の
目視と触診に頼っていた時代だ。結核性腹膜炎自体が誤診だったのか
とも思えるのだが、それではルルドの泉へ赴く前の女性の脈拍数や
呼吸数の説明がつかない。

原書はフランス語らしいのだが、本書は英訳からの重訳になっており、
そもそも英訳は原書の抄訳らしいので、省かれた部分に何が書かれて
いるかが気になる。

尚、ルルドにはカトリック教会の医薬局が存在しており、奇跡と認定
されるのは相当に厳しい基準が設けられているそうだ。そして、カレル
が目撃した女性の例は奇跡とは認められなかった。

それでも、不思議だと思う。少ない例とは言え、医学の知識を総動員
しても手の施しようがない病を治癒させる泉。

体験とまでは言わないまでも、出来ることなら目撃してみたい。