候補者も取材者も真剣で、ひたむき

プレミアム・フライデーが失敗したからなのか。自民党のナイト
エコノミー議連が「ラグジュアリー・マンデー」を構想している。

金曜・土曜・日曜と目一杯遊んで、月曜日は午後から出勤しよう
ということらしい。

現実見てますか?そりゃ議員さんたちはいくらでも遊ぶ金がある
だろうけど、庶民はそんなに裕福ではないんですよ。消費税は
上がるわ、食べ物は値段据え置きでも小さくなってるわで大変
なんです。

まずは、きちんと生活出来る賃金をくれ。あ、実質賃金な。

『黙殺 報じられない”無頼系独立候補”たちの闘い』(畠山理仁 集英社
読了。

素晴らしいっ!もうこの一言に尽きる。

選挙に立候補するいわゆる「泡沫候補」を「誰にも頼らない、無頼系
独立候補」と呼び、そんな彼ら。彼女らを追い続けた記録だ。

私は注目を集める選挙にマック赤坂氏とドクター中松氏の名前を見つける
と、「あ、また出ている」と嬉しくなって来るんだよね。そして、本書
の冒頭はそのマック赤佐氏なので、ワクワクした。

スーパーマンガンジーのコスプレをしたり、頭に天使の輪をつけて
いるけれど、彼の「スマイルっ!」ってとっても大事なことだと思う
のよ。みんなが笑顔でいられる政治っていいじゃないか。

選挙になると大手メディアは「主要候補」と「その他」で括って、
マック赤坂氏をはじめとした組織の力に頼らない候補者たちは
「こんな人も立候補してます」ってひとまめにされてしまう。

今ではインターネットで調べれば、どんな候補のことでもひと通り知る
ことは出来る。それでも、自分から「この人はどんな人なんだろう」と
興味を持つきっかけがなければ、報道に乗らない候補者のことなんて
知らずに選挙が終わってしまう。

選択肢がおのずと決められてしまうんだよね。組織力を持たない候補者
だって、訴えたいこと・実現したいことがあって名乗りを挙げている。

確かに一見、イワモノに見える候補者もいる。それでも、見た目のイン
パクトだけで敬遠してしまっては、候補者の考えを知ることも出来ない
のだよね。

また、本書では高額な供託金のほか、どれだけ日本の選挙にはお金が
かかるかが詳述されている。これ、本当に問題だと思う。特に、同じ
ように供託金がある国と比較しても格段に高い。

その途轍もない供託金を用意して立候補した人たちなのだから、有権者
である私たちも彼ら・彼女らの言葉を真剣に受け止め、考える必要が
あるんじゃないかな。

本書の素晴らしさは有権者がはなから無視を決め込んでいる候補者たち
にスポットを当てていることばかりではなく、著者がそれぞれの候補者
に真摯に向き合い、ちゃかすでなく、冷笑的に見るでなく、主要候補と
呼ばれる人たちに対するのと同様に真摯に向き合い、その選挙活動を
綿密に追っているところだ。

第15回開高健ノンフィクション賞受賞も頷ける。

真剣で、ひたむきな無頼系独立候補同様に、著者の筆も真剣で、ひたむき
である。いい作品に出会えたことに感謝である。