加害の記憶もまた事実である

ほーっほっほ。夏の甲子園花咲徳栄が優勝である。
埼玉県勢初の全国制覇である。キャッホー。

「餃子の満州」や「十万石饅頭」が半額セールとか、東武鉄道
西武鉄道が1日フリーパスとかやらないかなぁ。

尚、花咲徳栄がある加須市は「かす」ではなく「かぞ」と読みます。

『戦争を悼む人びと』(シャーウイン裕子 高文研)読了。

太平洋戦争について「加害の記憶」というとなんでもかんでも
「捏造だ」とか「反日だ」とかいう人がいる。都市部を空襲され、
原爆を落とされ、多くの市民が殺された「被害の記憶」だけが
戦争の記憶ではないなんてことが通用しない人たちだ。

だが、満州で、ニューギニアで、日本軍が侵略した各地に派遣
され、加害の記憶を抱えて生きた元日本兵たちは確実にいる。

そんな証言を集めたのが本書だ。戦争の記憶はどんなものでも
重く、苦しく、辛い。本書は戦地を経験しているご本人たちの証言
が多く収録されているので、辛くも貴重な記録だ。

今夏、NHKスペシャルの戦争関連の内容は充実していた。中でも
インパール作戦の回は秀逸だった。この無謀な作戦において、
日本軍上層部がいかに前線の兵士の命を軽く扱っていたかを
改めて思い知らされた。

自国の兵士さえ消耗品扱いする軍が、自分たちより劣っていると
見下していたアジアの人々の命を軽視するのは当たり前だったの
だろうな。

将校も、下士官も、兵士も、現地の人たちも、命の重さは同じはず
なのにさ。

上官の言うことを信じ、現地の人たちに手を下した。ある者は戦犯と
して裁かれ、ある者はシベリアに抑留される。上層部はまっさきに現地
から日本へ逃げ帰っているのにね。

体験した人たちの声だからこそ生々しく、それでに語られる内容は
重い。ただ、耳を塞いではいけないと思う。

空襲で、原爆で、多くの日本人の命が奪われた一方で、アジア各地
で多くの現地の人たちの命が日本軍によって奪われているのだ。

改めて言う。戦争は美しくもなんでもない。ひたすらむごたらしく、
後々までに人の心に深い傷を残すのだ。