楽しいだけが映画じゃない

「トランプ抜きでやろうぜ」

パリ協定からの離脱を表明したアメリカ・トランプ大統領だが、州や
国内企業から続々と連邦政府抜きでパリ協定を守るとの声明が出
ている。

アメリカのこういうところは好きだし、羨ましいわ。

『バッドエンドの誘惑 なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか』
真魚八重子 洋泉社)読了。

一時期、後味の悪いミステリー小説、通称イヤミスなんてのが
流行った。本書はその映画版。観終わった人をイヤ〜な気分
にさせる映画の紹介本。

なんだけどね、思ったのと少々内容が違った。この副題だから
観る側の心理分析でもあるのかと思いきや、全編これイヤ映画
のあらすじ紹介の本だった。

まぁ、どれだけその映画がイヤなのかはあらすじを書かないと
分からないと思うけどね。文章が途中から1人称になったり、
映画で国柄を語ってみたりと、いささか読むのに労力が必要
だったのは、著者の文章が私の好みに合わないからかもね。

取り上げられている映画をほとんど観ていないのも影響がある
のかもしれない。「サンセット大通り」と「ミスト」くらいしか観てない
ものな。

ジャン・ギャバンアラン・ドロンの「暗黒街のふたり」なんてバッド
エンドの映画だと思うんだよね。モーガン・フリーマンとブラット・
ピットの「セブン」の結末なんて救いがないし。

フランス・ロシア合作の「パパってなに?」なんて「あ、これで終わり
か」と思った後に「なんでそう来るか」って終わり方だったし、スペイン
映画「蝶の舌」は美しい映像なのに結末はやり切れなかった。

単純に楽しめる映画も好きだけれど、バッドエンドの映画も決して
嫌いではない。フランス映画にこの手のバッドエンドが多いと思う
のは私の偏見かな。

本書は内容的に私には合わなかったけれど、このタイトルは秀逸
だと思うわ。