バッタ博士の熱過ぎる情熱

北朝鮮の3代目、ミサイルばっかり打ち上げてないでその費用で
食糧を買ったらどうだろう?

我が国のでんでん晋三は森友とか加計とかで忙しいし、アメリカの
トランプ大統領はロシア問題が娘婿にまで及んでいるんで。相手を
している場合ではないと思うんだけどね。

『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎 光文社新書)読了。

おかしいだろう、このタイトルにこの表紙。これを買わずに、読まずに
いられようか。そう思ったので衝動買いして読んだのだ。

子供の頃に読んだ『ファーブル昆虫記』に感銘を受ける。これは分か
る。将来はファーブルのような昆虫学者になるんだ。これも分かる。

外国で大発生したバッタを見学していた女性観光客が、バッタの大群
に巻き込まれて緑色の服をバッタに食べられたことを科学雑誌で知る。
あぁ、羨ましい。自分もバッタに貪り食われたいっ!となると理解不能

常人には理解不能の熱過ぎる情熱を持ってこそ、何かしらの研究に
打ち込むことができるのではなかろうか。まぁ、いくら私がシャチ好き
でもシャチに貪り食われたいとは思わないんだが。

そんなバッタ博士である著者がサバクトビバッタの甚大な被害に悩まさ
れているモーリタニアサバクトビバッタ研究所を舞台にフィールドワーク
を行った際の研究エッセイだ。

しかも日本国内ではフィールドワークをしたことのない著者が、初めての
フィールドワークに出るのがモーリタニアって…。バッタ研究に賭ける著者
の情熱は半端じゃないモーリタニア公用語であるフランス語も話せない
のに…だ。

当然のようにドタバタ劇が繰り広げられるのだが、本書はタイトルと表紙
から受ける「おかしいだろう、これ」との印象だけではない。博士号を取得
しても、研究を続ける為の資金を獲得する苦労も記されている。

思い至らなかったが、研究者って大変なんだな。恒久的に収入を得ながら
好きな研究を続けられるのって、著者の言葉ではないがほんの一握りど
ころか、一つまみなんだね。

そんな苦労を潜り抜けて、モーリタニアでバッタ研究を続けるのだが肝心
のバッタの大群がなかなか姿を見せてくれない。こればかりはタイミングも
あるのだろうね。

そうして念願のバッタの大群出現。当然やりましたとも。子供の頃の夢を
叶えることを。緑色の前線タイツに身を包み、バッタの大群の中に飛び込ん
で行く。

「さぁ、貪り食うがよい」

命がけの秘技ではあったがバッタに素通りされるバッタ博士。トホホ。

たくさんの人たちに応援され、アフリカのバッタ被害を食い止める野望を
抱き、バッタ博士はサハラ砂漠を駆け巡った。相棒であり、専属運転手の
ティジャニとの連携は抜群。サバクトビバッタ研究所のババ所長との心温
まる絆にはホロリとさせられるところもある。

ジャケ買いだったけれど買って、読んで損はなし。こんな尋常ではない情熱
を持ったバッタ博士がいるのなら、いつかきっと、蝗害の根本的な解決策が
発見されるかもしれない。

尚、私は仕事先から帰宅して、なんか頭がかゆいな…と思って頭に手をやっ
たらバッタが載っていたことがあった。バッタ博士のように「貪り食われたい」
とは思わなかったので、すぐに近くの木の根元に置いて来ましたけどね。