1万冊が消えた

京都市を文化首都にするなんてことを京都市長は言ってなかった
だろうか。それなのに寄贈本1万冊を勝手に処分。

ただの寄贈本ではない。フランス文学者であり京都大学の元教授、
新京都学派を代表する桑原武夫氏の蔵書である。

「利用実績が少ないから保管の必要はない」と右京中央図書館の
職員が判断しで古紙回収に出したとか。遺族への相談はなかった。

一応、責任のある地位にいたひとなのだろうがひとりの職員の判断で、
桑原氏クラスの研究者の蔵書でも処分できちゃうのか。しかも古紙回収
どうせなら古書店に売り払ってくれた方が、後進の研究者の役に立った
のではないだろうか。

昔々、チリ紙交換に出された古本の山から価値あるものを掘り出していた
人たちがいた。今の古紙回収業者はどうなんだろう。でも、処分したのが
2年も前のことだから、どこかに残っているなんてことはないんだろうな。

しかも桑原氏の蔵書は保存を前提に寄贈されたのにこれだものなぁ。

漢籍だとかフランス語の原書などがたくさんあったと思うのよ。私には
読めない類の蔵書だけれど、それでも本が大量に処分されてしまってい
るのは哀しいわ。

『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス──核密約の真実 〈新装版〉』(若泉敬
 文藝春秋)を読み始める。

読み始めるというか、しばらく前から少しずつ読んでいたのだがこの休み
を利用して一挙読了を目指す。

日米最大の密約である有事の際の核持ち込みの容認。沖縄返還交渉で
時の首相・佐藤栄作の密使としてアメリカ側との折衝を重ねた本人による
ドキュメント。