あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。
本年もよろしくお願い致します。

なのに、トルコ・イスタンブールのナイトクラブで襲撃事件。せっかく
新しい年を祝おうと多くの人が集まっていたのにね。

嫌な年明けになってしまったけれど、今年こそ世界から争い事が
なくなりますように。

『戦争をしない国 明仁天皇メッセージ』(文・矢部宏治/写真・須田
慎太郎 小学館)読了。

疎開先の日光から戻った東京の街は一面の焼け野原だった。
小学生であった今上陛下と、1歳年下の美智子皇后陛下は
共に先の大戦をご存じである。

だからこそ、おふたりの折々のお言葉には平和への願いが込め
られている。それは日本一国のみの平和ではなく、全世界が平和
であることへの願いなのだと感じる。

東日本大震災発災後、今上陛下は異例のビデオメッセージを
発表された。「平成の玉音放送」と言われたお言葉は心に沁み
るような、温かで、安心感を与えさえした。

大きな自然災害が発生した時だけではない。皇太子時代から
沖縄県と沖縄の人々にお心を寄せられているのは、父上である
昭和天皇が強く願いながら果たせなかった沖縄訪問を、今上陛下
が担っているからだろう。

あの「ひめゆりの塔事件」で過激派から火炎瓶を投げつけられて
以降も日程を変更せず、当日には夜中までかかって沖縄県民に
向けて自らのお言葉をお書きになり発表されたことでも分かる。

今上陛下だけではない。陛下に寄り添う皇后陛下も陛下のご意思を
汲み、ご一緒に「国民と共に」と言う「平成の皇室」の在り様を模索され
て来た。

被災地へ、高齢者施設へ、福祉施設へ、海外への慰霊の旅へ。
両陛下のお姿こそ「声なき人々に寄り添う」のもっともたるものでは
ないだろうか。

本書は昨年の発行だが、それまでの天皇皇后陛下のお言葉や御製・
御歌を通して、平和を希求されるおふたりのお気持ちを記している。
だが、両陛下のお言葉・御製・御歌を安倍政権批判に利用している
のではないだろうか。その点が残念だ。

どのような状況でのお言葉・御製・御歌であったのかの解説だけで
充分だったと思うんだよね。添えられている写真もイメージだしね。
出来れば両陛下のお写真を掲載して欲しかった。

なゐ(地震)をのがれ 戸外に過す人々に 
雨降るさまを  見るは悲しき       
天皇陛下御製(阪神・淡路大震災

大いなる まが(禍い)のいたみに 耐へて生くる
人の言葉に 心打たるる          
天皇陛下御製(東日本大震災) 

今ひとたび 立ち上がりゆく 村むらよ
失せたるものの 面影の上に
皇后陛下御歌(東日本大震災

両陛下の御製・御歌は何度の読み返してしまうのだよね。そして、上記に
引き写したような、自然災害に対する御製・御歌は詠むたびに胸にジンと
来る。

本書も著者の思想を排して、両陛下のお言葉・御製・御歌だけで構成すれ
ばよかったのにね。両陛下を著者自身の思想の為に利用してはいけません。