丸ごとニッポン絶望列島か

我が家ではクリスマスが2回ある。12月24日のイブは日本のクリスマス。
そして、年明け1月7日はロシア正教のクリスマスである。

なので、昨夜は日本のクリスマス。ロースト・チキンと某菓子店のショート
ケーキで夕飯である。

当初は我が家の白くまがピザが食べたいと言っていたのだが、イブの
夜にデリバリーを頼んだら何時になるか分からなかったので却下した。

これ、正解だったよう。デリバリー・ピザの某チェーン店は予約持ち帰り
の客でごった返していた店舗が多かったとか。キャパシティを超えた
注文は断る勇気も必要なのではないでしょうか。

自分で作っておいて言うのもなんだけど、かぶのクリームシチューは
美味しかったわぁ。

『ルポ ニッポン絶望工場』(井出康博 講談社+α新書)読了。

コンビニは244時間営業しており、すぐに食べられるサンドイッチや
おにぎりが並んでいる。雨の日も、風の日も、台風の日も、雪の日も
宅配の新聞は必ずポストに配達される。ネットなどの通信販売で
購入した商品は指定時間内にきちんと届く。

便利であることを便利であると感じないほどに、私たちの生活の便利
になっている。だが、その「便利な生活」を見えないところで支えいる
人たちがいる。

そんな人たちのなかに含まれるのが本書で取り上げられている外国
人労働者だ。みんながみんな、就労ビザで日本にやって来るのでは
ない。技能実習制度や日本語学校や大学への留学を名目とし、来日
した彼ら・彼女らが働いている。

技能実習制度の問題点については数年前からメディアが取り上げるよ
うになったが、留学名目での来日も実態は勉強することではなく日本へ
の出稼ぎが主な目的なのだと著者は言う。

実際、借金までして自国で斡旋業者に多額の手数料を支払い「勉強し
ながら20〜30万円を稼ぐことが出来る」と言われ、夢を希望に来日した
はいいが、現実との乖離に直面しにっちもさっちも行かなくなった留学生
の生活を追っている。

基本的な問題として受け入れる側である日本の制度自体に問題がある。
それは鳴り物入りで始まったインドネシアとフィリピンからの看護師・介護
士の受け入れだろう。本書でもこの件は取り上げているのだが、私はこの
精度が始まった当初、日本語での国会試験合格というハードルの高さが
気になっていた。

まず日本語という高い壁がある。本国では看護師・介護士として働き、既
に専門知識を有しているであろう人たちを目の細かいふるいにかけること
が受け入れ制度になるはずがないではないか。

本書は在日外国人が晒されている厳しい環境を知るにはいいのだが、同じ
問題点の指摘の繰り返しが多く少々残念。受け入れる日本側の問題点も
あるのだが、現地の斡旋業者の取材は出来なかったのかな。この視点が
あるともっとよかった。

日本政府は外国人による家事サービスを解禁しようとしている。看護師・
介護士の受け入れさえまともに出来ないこの国が、人手不足を理由に
新たな外国人受け入れを始めて大丈夫なのだろうかと思う。

実習生や留学生のように、描いた夢と現実の落差に直面し、不法就労
走る外国人が増える原因になりはしないだろうか。まずは受け入れ準備を
周到にする必要があるんじゃないだろうか。

関東の地方都市にある24時間操業の化粧品工場で夜勤のアルバイトをする
外国人女性。その彼女は同じ職場に外国人に混じって高齢の日本人が働い
ていることに対して「かわいそう」と言っていた。

外国人のみならず、日本人にとっても日本は「絶望列島」なのかもしれない。