詩人、100歳の日々

新潟県糸魚川市の大火は発生から8時間たっても鎮火せず。
折からの強風が延焼範囲を広げてしまったようだ。

消防の方たちも懸命なのだろうが、避難されている方々も
不安を抱えて一夜を過ごすのだろうな。

外出中に自宅が避難範囲に含まれてしまい、自宅が無事なのか
も不明だとニュースで語っていた方がいた。

どうか、早く鎮火しますように。

『百歳日記』(まど・みちお NHK出版生活人新書)読了。

2014年に104歳で亡くなった詩人まど・みちおさんが、100歳の
時に放送されたNHKスペシャルの書籍化。エッセイ風ではある
が、まどさんが語ったことを文章にした聞き書きのようだ。

私は詩の良し悪しは分からないけれど、まどさんが詞を書いた
童謡「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「一年生になったら」「ふしぎ
なポケット」は今でもちゃんと歌える。下手だけど。

「やぎさにゅうびん」は好きだったな。白ヤギさんも黒ヤギさんも、
いつまでたっても相手からのお手紙を読めないのだもの。

凡人の私にはない感性が、100歳となったまどさんにはまだまだ
溢れていた。入院生活の中で語られたお話は、ほんわかとした
雰囲気を漂わせていながら、すーっと一本の筋が通っている。

100歳になっても、入院生活でも、詩を書き、絵を描き、日記を書き、
自然を、宇宙を、人間を、生きとし生けるものすべてを愛していた
まどさん。

「まだどれだけ生きるかしらんけど、生きとるあいだに、自分のやれ
るだけのね、おかしいことをやってみたいと思っております。年を
とっても、しょげたことにはしたくないからね。そういう努力はして
いきます。」

100歳でこう言えてしまうのは凄いと言ったら、まどさんはこそばゆい
と思うだろうか。自然体で、与えられた命を生きていたからこそこん
な言葉が出て来るのかな。

まどさんの言葉を読んでいると、些細なことで腹を立てたり、挫けたり
している自分がとっても小さく感じてしまった。

「生き物のすべてにいえることですが、幸せというのは心が穏やかで
和やかなときだと思います。つらくて胸騒ぎがするようなときはお金や
名誉があっても、きっと不幸なのじゃないでしょうか。」

あぁ、そうだよな。いくらお金があっても幸せそうじゃない人もいる
ものね。

詩人の100歳の日々を読んでいると、こんな風に歳を重ねたいと
思った。ただし、私が100歳まで生きられるかは分からないけれど。

尚、テントウムシを「ひとしずくの涙みたいな生き物」と表現している
のだが、これにはやられた。テントウムシをこんな風に思ったことが
ないので、これは今後どこかで拝借してみたい。

まどさんの本ももっと読みたいね。