とっても小さく浅い器

「内野に芝が張ってないからダメ」なのだそうだ。2020年東京オリン
ピックの野球・ソフトボールの会場を福島で…は実現しなさそう。

「復興オリンピック」なんて看板はもう下ろしましょう。

安倍晋三 沈黙の仮面 その血脈と生い立ちの秘密』(野上忠興
 小学館)読了。

野党議員がしつもんに立っている時には自席から野次を飛ばす
のに、自分が答弁している時に野次を飛ばされると「話しているの
だから聞いて下さいよっ!」は通用しないと思うんだけどね。

日本国首相・安倍晋三である。私はとことん嫌いなんだ、この人が。
まぁ、政治家はほとんど好きじゃないんだけれど例えば麻生太郎

首相時代の漢字の読み間違い多発の時は「アソウじゃなくてアホウ
だな」と思ったけど、笑うと愛嬌があったし、出るところへ出れば姿勢
がいい。福田康夫だって首相としては「?」だったけれど、官房長官
時代はいい感じだった。

人を見た目で判断してはいけないのだけれど、安倍晋三はその姿
だけでも生理的に受け付けない。取り敢えず、立つ時は腰を引け。
そして、天皇陛下の御前では麻生太郎を見習ってピシッとしていろ。
足はきちんと揃えるんだぞ。

政策だとか、政治理念以外の問題でダメなんだわ。だから、極力、
テレビニュースでも見たくないんだけれど、字幕がないと何を言って
いるんだか不明なので、取りあえず画面を見ちゃうんだけどね。

嫌悪感を抱いているからシャットアウトしてしまったら何も分からなく
なってしまうので、取りあえずは1冊くらい安倍晋三のことを書いた
本を読もうと手に取ったのが本書だ。

著者は共同通信の記者として長年、政界を取材して来た経歴を持つ。
その経験を活かし、関係者や少年期まで安倍晋三の乳母であった
女性にも話を聞いている。

実は安倍晋三は可哀想な人なんじゃないかと思った。政治家一家に
生まれ、父も母も不在がち。60年安保の時にはおじいちゃまである
岸信介邸は安保反対を叫ぶデモ隊に囲まれた。邸内にいた孫の
晋三はきっと怖かったのだろうな。その怖さが、左派への憎しみに
変化したのか。

子供に接するにはあまりにも不器用な父。その父の代わりに遊び
相手になってくれたのは岸信介だけれど、弟が岸家に養子に行って
からは嫉妬も芽生えたようだ。

それでも安倍晋三にとって祖父・岸信介は何をおいても尊敬の対象
なんだな。将来は総理総裁と言われ、病に倒れた父よりも。だから、
岸信介の亡霊に絡めとられているのかもな。

可哀想だなとは思う。でも、それ以上ではない。これは私の好き嫌い
が関係しているのだけれど、知性だとか品格だとかをまったく感じ
ないんだ。

父・晋太郎に対して「パパのあとをやるよ」と早くから宣言した割に
は何を勉強して来たのだろうと思う。

「安倍君は保守主義を主張している。それはそれでいい。ただ、思想
史でも勉強してから言うならまだいいが、大学時代、そんな勉強はし
ていなかった。ましてや経済、財政、金融などは最初から受け付けな
かった。卒業論文も枚数が極端にすくなかったと記憶している。その
点、お兄さんは真面目に勉強していた。安倍君には政治家としての
地位が上がれば、もっと幅広い思想を磨いて、反対派の意見を聞き、
議論を戦わせて軌道修正すべきところは修正するという柔軟性を
持ってほしいと願っている」

大学時代の教授が10年前に著者に語った言葉だそうだ。残念ながら
教授の願いは聞いてもらえなかったようだ。首相在任が長くなれば
なるほど、安倍晋三は人の話を聞かず、自分が言いたいことだけを
言い、本質からずれた答えを繰り返すようになってないか。

「晋三は政治家に必要な情というものがない」とは父・晋太郎の評。
きっと「情」なんて必要だと思っていないんじゃないか。「おじいちゃん
はすべて正しい」」との岸史観だけで突っ走っているようだもの。

メディアに「今太閤」と持ち上げられ、ロッキード事件が発覚すると
金権政治が批判された田中角栄は新聞記者たちに対し「まぁ、あな
たたちは批判をするのが仕事だからな」と言ったとか。

少しでも批判されたり意に沿わない質問をされようものなら、テレビ
出演中でもぶんむくれるんだもの、安倍晋三は。器、小さすぎ。

政治家になってはいけなかったんじゃないかな、この人は。「批判する
なら敵を知ろう」と思って読んだけれど、嫌い度が増すだけだった。

尚、カバー写真は安倍晋三のドアップ。読む時にカバーを外せばいい
かと思って購入したけれど、カバーを外しても裏表紙に安倍晋三
顔写真があった。本書を開くたびに安倍晋三の顔が視界をかすめた
ので、私のダメージが大きかった。シクシク。