敢えて困難を拾った男

アメリカではトランプ大統領誕生に反対する大規模デモ。
韓国では不祥事による大統領辞任要求の大規模デモ。

そのころわが国では…。ガルパン人気も伴って、、大洗の
あんこう祭り」がまるでコミックマーケットのような大混雑。

平和だわ、日本。永遠に日本は平和であって欲しいわ。

『メディアの怪人 徳間康快』(佐高信 講談社+α文庫)
読了。

潜入ルポルタージュの名著だと思っている鎌田慧『自動車絶望
工場』。私は講談社文庫版しか知らなかったのだが、初版は徳間
康快が経営していた出版社(徳間書店ではない)から出ていたんだ。

しかも当初のタイトルは『トヨタ絶望工場』だったらしいが、当然この
タイトルでは出版出来ずに『自動車絶望工場』に変更になったそうだ。

何度も読み返している作品だけれど、出版当初の話は本書で初めて
知った。まぁ、読んでいればトヨタがと分かるんだけどね。

徳間書店の創業者である徳間氏は本当に面白い人なのだ。徳間書店
設立後はグループ会社は10を超えるまでになっていた。

でも、徳間氏が一番やりたかったのは、やはり新聞だったのではない
かと思う。それも日本にはなかなか定着が難しいクオリティ・ペーパー。

記者として読売新聞に入社したが読売葬儀で退職を余儀なくされ、
新聞への執着があったのだろうと感じた。同じ共産党細胞で後輩
ナベツネなんかが社に残ったばかりがトップになってるのだもの。

あ、本書にはナベツネの悪口もいっぱいなので、ナベツネ嫌いの私に
は爽快なんだけどね。

徳間氏のメディア人としての軌跡を読むと、自ら困難な局面に挑んで
いく、飽くなき挑戦者のようだ。買収した映画会社「大映」は倒産寸前
だったし、グループ会社にした「東京タイムズ」だって赤字続きだった。

今では「天才」と冠して呼ばれるようになった宮崎駿の才能をいち早く
見抜いて、惜しみない製作費を捻出したのも徳間氏だった。

挑み続け、失敗した事業もあるけれどそれで挑戦を止めるようなことは
なかったというのは、他の経営者では真似が出来ないのではないだろ
うか。

徳間氏のエピソード満載なのだけれど、徳間氏が影響を受けた人物や
周辺の人々のことを盛り込み過ぎて若干まとまりがないのが気になる。

そうして、徳間氏が晩年口にしていたという「騙された、裏切られた」と
の言葉が、一体、誰を、何を指しているのかも不明のまま。ここは消化
不良だったな。