私が大きな勘違いをしていました

結局、TPPは強行採決ですか、そうですか。国会が国会として
成立していないよ、我が国は。

大体、賛成した議員のうちどれだけがTPPの内容をきちんと知って
いるのでしょうか。詳細な内容って交渉担当者しか知らないんじゃ
なかったっけ?

ねぇねぇ、遺伝子組み換え作物は絶対に入って来ないって誰か約束
出来る〜?ホルモン剤漬けの食肉が入って来ないって保障はある〜?

プンスカだわよ。

『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』
(伊藤祐靖 文春新書)読了。

タイトル買いしちゃったんだけどね、この本。どこかで見た名前だなと
思ったら、2012年8月19日の日本人活動家尖閣諸島上陸事件の時に、
魚釣島に日の丸を掲げた人だったわ。

元々は海上自衛官であり、自衛隊初の特殊部隊である海上自衛隊
特別警備隊発足に係わっている。

意に沿わぬ異動命令をよしとせずに、退官後にはフィリピン・ミンダナオ
島に渡り、実戦的な格闘訓練を積み、現在は現役の警察官や自衛隊
を指導する私塾を開いている特異な経歴の持ち主である。

冒頭の1999年の能登半島沖不審船事件の記述から既に映画のような
ストーリーである。この事件をきっかけに著者は特殊部隊の必要性を
実感するのだけれど、どうもしょぱなから違和感を持ってしまったのだ。

著者の考え方に大きな影響を及ぼしたのは彼の父親の存在である。
陸軍中野学校蒋介石暗殺を命じられ、戦後になっても「命令は解かれ
ていない」として射撃訓練を続けた人物。

子供の頃は父の話が分からなかったという著者だが、確実にその影響は
受けていると思うんだ。特にミンダナオ島でのトレーニング・パートナーで
あった女性との会話の中で彼女が日本国憲法を「他から押し付けられた
掟」と言った時に、きちんと反論できていないのだもの。

著者は自身の価値観をきっちりと持っている人なのだと思う。それを貫こう
との姿勢には共感は出来るのだが、結局のところ、突き詰めて行くと憲法
改正をして、自衛隊を軍隊としたいと思っているのではないのかな。

現行の日本国憲法が他から押し付けられた掟だというのであれば、自衛
隊だってアメリカの希望で誕生したものなんだけれどね。

警察や海上保安庁同様に、自衛隊も私は感謝をしている。それは主に、
大災害が発生した時の自衛隊の機動力に対してである。だから、今まで
と同じように自衛隊員に戦場で命を落とすような事態にないって欲しくない
し、他国の人に銃を向けて欲しくはない。

「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく
自衛隊を終わるかもしれない。 きっと非難とか叱咤ばかりの一生かもしれ
ない。御苦労だと思う。
しかし自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、 外国から攻
撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混
乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せな
のだ。
どうか、耐えてもらいたい。」

防衛大学の第1回卒業式で、時の首相・吉田茂は式辞でこう述べた。比べ
てみて欲しい。先の国会での所信表明演説安倍晋三海上保安庁、警
察、自衛隊を称えて拍手を促した。

本書を読んでいて、安倍晋三所信表明演説に通じる危うさを感じたのは
私の考え過ぎなのだろうか。

生まれ育った国だから守りたい。それは私も思う。でも、「国のために死ね
るか」と問われたら、そこには大きな疑問点がついちゃうんだけどね。

タイトルで勘違いしちゃんただよな。自衛隊出身であるからこそ、隊員を死と
隣り合わせの場所へ送り込みたくはないというお話かと思ったんだ。失敗。