テレビ番外地が輝きを放つ

野菜高騰で学校給食休止なんてニュースがしばらく前に流れたの
のだが、野菜の高騰より、給食の休止より、気になることがあった。

小学校で給食を食べる子供たちがてにしていた箸である。持ち方
のおかしい子の、なんと多いことか。握り箸だったり、バッテン箸
だったり。

子供の頃、お箸をきちんと持たないと手をペシッってされた記憶が
ある。親御さんは注意しないのかな。

尚、私は20代の頃、付き合っていた男性が箸の持ち方がおかしいの
を理由に別れた過去がある。

『池上無双 テレビ東京報道の「下剋上」』(福田裕昭+テレビ東京
選挙特番チーム 角川新書)読了。

国政選挙の投開票日、地上波のテレビ局は夕方から一斉に選挙
特番を放送し始める。

速報性・確実性を求めて、以前はNHKばかりを見ていた。しかし、
2012年の衆議院選挙以降はテレビ東京にチャンネルを合わせて
いる。

在京テレビ局の中でも地方の中継局が少なく、テレビ東京自体の
規模も他局に比べたら遥かに小さい。速報性には難点がある。
ならば、その難点を補える番組内容にすればいい。

白羽の矢が立ったのがジャーナリスト・池上彰である。彼をメイン
司会者に据え、「家族みんなで見られる選挙特番」が企画された。

これが当たった。当たったどころか、大当たりだった。

放送がある度に見ているけれど、面白んだよね。「池上バスツアー」
と銘打って、街角の選挙ポスターをどのように見ればいいか解説し
たり、公明党本部へ行って創価学会との関係を聞いたり、日本会議
を訪問したり、政治家の地元事務所へ行って政治資金収支報告書
を見せてもらったり。

他局はスタジオのメインキャスターを中心に政治部記者が状況を分析
したりに終始しているけれど、当落の情報だけではなく、選挙に係わる
ことをいろんな切り口で解説してくれるんだ。

勿論、池上氏が得意とする「分かりやすい解説」があるからこそなのだ
けれど、政治家を紹介する時の短いプロフィールが秀逸なんだわ。

例えば…
麻生太郎(74) 副総理 財務大臣
 総理が恐れる”失言癖”
 洗礼名”フランシスコ”」

岡田克也(61) 民主党代表代行
 トップクラスの質問回数
 車庫入れが苦手」

洗礼名も車庫入れが苦手も、政治にはまったく関係ない。でも、この脱力
コメントがグッと来るんだよね。

この脱力コメント以外でも池上氏と政治家とのやり取りがめっちゃ面白い。
本質を突く池上氏の質問に、聞かれた方の政治家が気色ばんだり、
当たり障りのない答えを繰り返したり。

特に初当選組に関して池上選挙特番は「バカ議員発見器」みたいなもの。
今井絵理子は沖縄問題を「これから勉強する」と言い、三原じゅん子
神武天皇を実在の人物であると肯定したりね。

本書は番組プロデューサーの筆になるもので、これまでの選挙特番の
文字起こし部分が多いのだけれど、今まで池上選挙特番を見たことの
ない人も、既に見ている人でも楽しめると思う。

池上選挙特番に限らないけれど、好きだわテレビ東京。「番外地」とまで
言われたテレビ局が、池上選挙特番では一時的にではあるが視聴率で
NHKを越えているんだもの。

小回りの利くテレビ局だから出来ることがあるし、出来ない部分は何かで
補おうとする。だから、池上選挙特番には独自の視点があり、それが受け
ているのだと思う。

尚、池上氏ご本人は文筆活動に専念したかったみたいだけれどね。