草食系は猛獣である

万里の長城を修復したら、ただの遊歩道になってしまいました。
何をしているんだろう、中国は。

万里の長城って世界遺産じゃなかったっけ?中国国内でも批判され
ているようだ。どうするんだろう。もう一度、補修するのかな?

『ライオンはとてつもなく不味い』(山形豪 集英社新書ビジュアル版)
読了。

ワニ、カンガルー、カメレオン、トナカイ。日本の精肉店の店頭には
並ばない動物の肉を食べて来た。だから、新刊書店で本書を見た
時、いろんな野生動物を食べた記録なのかな?と思ってタイトル
買いした。

ライオンの肉ってどうやって食べるのかな?ステーキかな?まさか
生肉では食べないよねぇ。何かと一緒に煮るのかな?でも、固くな
いのかな?なんて考えながら。

内容は全く違った。裏切られた。でも、本書の場合は「良い裏切り」な
のである。不勉強で著者をまったく知らなかったのだが、南部アフリカ
を主なフィールドとして野生動物や自然を撮っているカメラマンなのだ
そうだ。

著者がどうしてアフリカを主な活躍の場とするようになったのかも含め、
人間と野生動物・自然との係わりに対する考えや愛情が、写真と共に
紹介されている。

カラー写真が豊富なので新書版でも少々値が張るのだけれど、その
価値ありだった。

獲物を狙うチーターの写真の躍動感、木の根元に横たわり死を迎えつ
つある雄ライオンの姿の切なさそのまま降って来るのではないかと思う
ほどの星空。掲載されている作品はどれも素晴らしい。

なかでも私が惹きつけられたのは「砂漠の貴婦人」と題されたヒンバ族
の女性の後姿だ。あまりの美しさと凛とした姿に見とれてしまった。

日本国内も含め、一生に一度は行ってみたい場所のひとつにアフリカが
ある。自然や野生動物の宝庫のアフリカであるが、観光開発の為に失わ
れるものもあるのだとか。でも、観光での収入が大きな部分を占めている
のも確かなんだよね。

難しいね、自然と人間の共存。人間は自然にとっても、野生動物にとって
も、同じ人間にとっても一番怖い存在なのかもしれない。

尚、著者によると肉食獣よりも草食獣が人間を襲う確率の方が高いのだ
そうだ。そのなかでもカバが一番危険なのだとか。著者自身、あわや
カバに襲われる危機があったのだが、この部分、文章だけでも怖かった。

「それにしても、日本では大人しくて押しの弱い人間のことを「草食系」な
どと呼んでいるが、とんでもない過ちである。カバやサイ、アフリカゾウ
ケープバッファローなど、現実世界の”草食系”動物は決して優しくも、
おっとりもしていない猛獣たちなのである」

そうだよな。動物園で人気のゾウだって、野生にいれば自動車を破壊
することもあるんだものな。

野生での動物との距離感を間違えると取り返しのつかないこともあるの
だよね。やっぱり、アフリカ行きは夢のままにしておこうかな。テレビの
ドキュメンタリー番組を見るくらいで我慢しておこう。

この著者の写真をもっと見たくなったので、そのうち写真集を入手しよう。