至高のカメラ。尚、異論は認める

リオデジャネイロ・オリンピックが終わった。ロシア選手の扱いには
大いに不満だったけれど、日本選手はいっぱいメダルを取ったね。

みんな、お疲れ様〜。勝っても負けても、素敵な2週間を見せてもらい
ました。有難う☆

『神聖ライカ帝国の秘密 王者たるカメラ100年の系譜』(竹田正一郎/
森亮資  潮書房光人社)読了。

あれは22歳か23歳の頃。専門学校を卒業して2番目に勤めた編集
事務所にいた時だ。予算のない仕事が多かった。だから、ちょっと
した撮影が必要になると自分でカメラを抱えて取材先へ赴き、編集
兼カメラの仕事をしていた。

専門学校では一応、カメラ実習の講義は受けていた。でも、ほとんど
独学。たまにちゃんと予算があって、カメラマンに依頼しての撮影立ち
会いの時、同年代のアシスタントの人にいろいろと教えてもらった。

人間とは欲の出る動物で、少しずつ写真を覚えると自分のカメラを
持ちたくなる。そうしてある日、多くはないボーナスを握りしめて(実
は財布の中だけど)、とある中古カメラ店の前に立った。

ショーウィンドウには様々なブランドのカメラが並んで私を手招きして
いた。あれもいい、これもいい。でも、ちょっと高いかな?だったら、
こっちで・・・。

悩みに悩んで小一時間も店に前にいただろうか。眉間にしわを寄せて
考え込んでいる私の姿を見かねたのか、店内からおじさんが出て来た。

ニコンもいい、コンタックスもいい、ライカもいい。だから迷っていると
告げると、初めて持つならこのブランドはこのシリーズ、特徴はこう
で、長所と短所は…と、丁寧に説明してくれた。

おじさんが目の前に並べてくれたカメラは、どれもオーラを纏っていた。
そのなかでも最も私に強く語りかけて来たのが、何を隠そうライカ
あった。

ロバート・キャパが、アンリ・カルティエ・ブレッソンが愛したライカ
それが遂に自分の手に入った。コンパクトで丸みを帯びたボディ、
構えた時に両の掌にしっくりと収まるフィット感。あぁ、これぞ至高の
カメラじゃないかっ。

あれ以来、私のライカは4台に増えた。3台はフィルムカメラ、1台が
デジタルカメラである。一応、コンタックスニコンも1台ずつあるのだ
けれどね。

本書はプロ・アマ問わず、世界中のカメラ好きから愛され、特に日本で
の愛好家が多いライカ誕生からその歴史を追った、ライカ・ファン必読
の書だ。

カメラブランド数々あれど、やっぱりライカは芸術品なんだよな。工業
製品ではあるのだけれど、ドイツ人のマイスター気質の結晶だ。

なので、著者のひとりである竹田正一郎氏のライカ愛があふれている。
偏愛といってもいいほどの愛がつまった1冊だ。これはカメラのことを
まったく知らない人が読んでも面白いかも。

美しく、性能にも優れているライカ。やっぱり至高のカメラだわ。尚、
異論はいくらでも認める。

ただ〜しっ!ライカを持っているのと写真の腕は別物。私が証明します。
口の悪い友人からは「宝の持ち腐れ」と言われています。トホホ。