まずは人間ありき

ロッテvs楽天の始球式に、マサカリ投法村田兆治氏が登場。
現役時代に川崎球場で見たっけ。

66歳にして131キロのストライクって凄いわ。オリオンズ時代の
ユニフォームも懐かしかったなぁ。

『日本で100年、生きてきて』(むのたけじ/聞き手・本瀬公二 朝日新書
読了。

「私は敗戦の日朝日新聞をやめた。『負け戦』を『勝ち戦』とウソの
記事を書いて読者に届けてきた責任を取らなければならないと思っ
たからです。」

先の大戦時、新聞各紙は大本営発表を垂れ流し、国民の戦意高揚を
煽った。戦争責任は政治家や軍人だけではなく、報道機関にもある。

だが、その責任を取った新聞社があるのかと言えばない。敗戦を機に
論調を買えただけだ。しかし、ここにひとりのジャーナリストがいる。

むのたけじ氏。戦中に朝日新聞記者として従軍経験もあるむの氏は、
敗戦をきっかけにそれまでの報道姿勢の責任を取って朝日新聞
辞した。

本書は東北6県で配信されているむの氏へのインタビューをまとめた
作品だ。タイトルには「100年」と入っているが、今年で101歳だ。

戦争を、戦場を知る世代が年々少なくなっている。だから、知っている
世代の方々の話したことや書いたことはなるべく知って、記憶してお
きたい。

本書もそんな1冊だ。語られているのは戦争のことばかりではない。
先日、施行された安保法案、国会前デモ、アラブの春、沖縄の基地
問題、東日本大震災等々。

テーマは広範囲に渡っているが、すべてに共通しているのは「まずは
人間ありき」という考え方だ。

人間ひとりひとり、みんな違う。だから、その違いを認めればいい。
他人を尊重できない人は自分を大切にしない人だなんて、はっとさ
せられる。ひどく当たり前のことなんだろうけれど、こうやって改めて
言葉にされると、ふと自分の行いを振り返るよね。

説教臭くなく、難しい言葉も使われていない。とても簡単な言葉で
語られてるので、小学校高学年くらいから読めるだろうと思うのだが、
「う〜む」と考えさせられることが多かった。

「そうやって行き着いた考えは「文章は面白くないとダメだ」だ。読み手
が、次も読もうと思わないような、読んで面白くない文章は人の役に
立たないもの。そういう文章を書くことは本当に難しい。難儀している」

むの氏にしてこの言葉だよ。私なんて…トホホ。

尚、戦争に関するむの氏の発言は必読。歴史の生き証人なのだもの。
安保法案を通した自民・公明のセンセイたちには是非とも読んで欲しい
ものだわ。