始めの一歩から間違えていた

保育園落ちた日本死ね」と題されたブログが国会で取り上げられた。
「匿名なので本当に起こっているのか確認のしようがない」との安倍
晋三の答弁がデモの引き金をひいた。

1億総活躍社会だのとぶち上げて、子供を持つ働く女性たちの現状に
まったく理解がないんだな。政権取って3年だっけ?この3年で待機児童
ゼロが出来ないんだから、やる気がないんだろうな、そもそも。

これでどうやって「総活躍社会」なんて実現できるんだろうか。アベノミクス
と一緒で絵に描いた餅か。

原子力政策研究会100時間の極秘音源 ─メルトダウンへの道─』
NHK ETV特集取材班 新潮文庫)読了。

島村武久。科学技術庁原子力局長を最後に官僚を退官し、原子力委員会
委員をも務めた人。その島村氏が日本の原子力政策の歴史を残しておこう
との思いで主宰したのが「島村原子力政策」だ。

この会議の様子が録音されたカセットテープの音源を元に日本の原子力
電の歴史を辿り、問題点を描いたのがNHKETV特集」。その書籍版が本書。

東日本大震災後の福島第一原子力発電所の事故は、日本が政治主導で
「夢のエネルギー」原子力発電に力を入れた時から始まっていた。

以前にも原発事故関連の作品を読んだ時にも書いたとは思うんだが、
正力松太郎のごり押しから始まったことがそもそもの間違いだったんだ。

なんで最初の商業炉が地震のないイギリス製のコールダーホール型なん
だよ。しかも、基礎研究を十分やってから商業炉をという研究者の意見も
無視してさ。自分が成功させたプロ野球やテレビと一緒に考えていたの
だろうか、この人は。

確かに日本は資源のない国。でも、唯一の被爆国。それであれば研究者
たちが言うように出来うる限りの基礎研究をして商業化に向けての問題点を
解決するという道を取るべきだったんじゃないのか。

出発点が政治主導で先が見えていなかったのに商業利用を急いだばっか
りに国は原子力予算に大きな金額を割いた。それに群がったのが旧財閥
系をはじめとしたメーカーであり商社だった。

まるでハイエナ。「電力の鬼」と言われた松永安エ門をはじめ、当初、電力
会社は原子力発電に積極的ではなかった。それがメーカーや商社にせっつ
かれ、徐々に各社が原子力発電所建設に傾倒していく。

似ていやしないか。福島第一原子力発電所の事故があっても政財界から
原発再稼働の大合唱が起こっている現在と。

資源のない国、オイルショック。だから原子力発電で電気需要を賄おう。
分からないでもない。電気の安定供給こそが現在も私たちの生活を支え
ているのだから。

しかし、今のように日本が原発列島になる過程で常にその安全性や放射能
に対する正しい知識はどこかに置き去りにされて来た。

本書で取り上げてられている伊方原発訴訟なんて、本当に酷い。これこそ
「国策」という名の下に原発立地住民をないがしろにして来た典型だろうと
と思う。

なんで証人尋問のすべてに立ち会った裁判官が結審食前で人事異動されるか
ね。何かしらの意図が働いていたのが丸わかりじゃん。

原子力の研究・開発・利用は、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うも
のとし、その成果は公開されるべしとする」。

原子力基本法に記されている三原則だ。「その成果は公開されるべき」の
「成果」には「危険性」は含まれていて当然だろう。

だが、誰が教えてくれただろうか。一旦、事故が起きればとても危険な施設で
あるなんて。「クリーンです。安全です」。そんな言葉ばかりが原子力ムラから
聞こえてこなかったか。

勿論、私たち国民にも責任の一端はあるんじゃないかなと思う。「これはもし
かしたら、とっても危険に満ちたものなんじゃないか?」と疑い、それをぶつ
けなかったことでだが。

先日、再稼働した高浜原発の3号機・4号機の運転停止の仮処分が出た。画期
的な判決ではあった。しかし、それでも使用済み核燃料が日本国内に溜まって
いるんだよね。どうするんだろう。「もんじゅ」は動かず、核燃料サイクルは夢の
また夢。

溜まりに溜まったプルトニウム核兵器なんて作らないだろうけれど、核武装
するには十分な量のプルトニウムが蓄積されているんじゃないのか。